「アウトランダーPHEV」が発売1年で残した爪痕 プリウス、MX-30…ライバル登場が追い風に

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2代目「アウトランダーPHEV」価格は462万1000円~(写真:三菱自動車工業)

三菱自動車の現行型「アウトランダーPHEV」が発売開始から1年を過ぎた。街でも頻繁に見かけるようになったが、この1年でどれだけの成果を残しているのだろうか。発売から、現在までを振り返ってみたい。

まずは、アウトランダーPHEVの成り立ちを簡単に説明しておこう。アウトランダーPHEVの初代モデルが誕生したのは、2013年1月のこと。2012年10月にフルモデルチェンジしたミッドサイズSUV「アウトランダー」の派生モデルとして、3カ月遅れで市場投入された。

“SUVのPHEV”の先駆者

最大のトピックは、充電できる(プラグインできる)ハイブリッドとして、SUVで世界初だったことにある。前輪はエンジン+モーター、もしくはモーターのみで駆動可能。後輪に強力なモーターを搭載したアウトランダーPHEVは、前後輪とも電気のみで駆動する4WD走行を可能としていた。

もちろん、大容量バッテリーに充電した電力を使って、電気のみでの走行(EV走行)もこなす。2013年の初代モデルのEV走行距離は、最大60.2km(JC08モード)だ。つまり、“プラグインハイブリッドのSUV”であることと、“電動4WD”であることが初代アウトランダーPHEVの特徴である。

現行アウトランダーPHEV(写真:三菱自動車工業)
先代アウトランダーPHEV(写真:三菱自動車工業)

このパッケージは、トヨタ「RAV4 PHV」やボルボ「XC60 Recharge」をはじめ、ここ数年で輸入車を中心に数多く見られるものだ。アウトランダーPHEVは、10年も前に、“SUVのPHEV”というスタイルを先取りしていたのである。

そして、2021年12月に、PHEVとしては第2世代となる現行アウトランダーPHEVが登場する。先代のコンセプトを踏襲しつつ、メカニズムを一新。前後輪のモーターの出力と駆動用バッテリーの容量を、それぞれ約40%もアップしている。

<先代アウトランダーPHEV 2013年型>
エンジン:2.0リッターガソリン
前後モーター:ともに60kW
駆動用バッテリー:12kWh
<現行アウトランダーPHEV>
エンジン:エンジン:2.4リッターガソリン
前後モーター:前85kW/後100kW
駆動用バッテリー:20kWh

EV走行距離も、最大60.2km(JC08モード)から最大103km(JC08モード)/87km(WLTCモード)へと大きく伸び、電気のみで走れる領域が広がった。パワフルになっただけでなく、電動車としてのポテンシャルを高めているのだ。

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