「復讐したくて」北海道で第二の大仁田厚を目指すぽっちゃりYOU。悪役志望がデビュー戦で激変!?:YOUは何しに日本へ?

日本を訪れる外国人たちを空港で勝手に出迎え、アポなしインタビュー! そのまま密着取材を行う「YOUは何しに日本へ?」(月曜夜6時25分~)。今回のテーマは「一度きりの人生だからワイルドに行くゾウ!SP!」。ワイルドがすぎるYOUが集結する95分で、はたしてどんな面白YOUに出会えるのか?

you_20230123_01.jpg
空港を飛び出し、街で見かけたYOUに日本でやってみたいことを聞く「YOUが日本でチャレンジしたいことは?」(撮影日:2022年7月23日)。

東京都内で声をかけたのは、アメリカ合衆国出身のシドニーさん(27歳)。日本人の母親に"アメリカは危ない"と諭され日本に移住、6年前から飛行機の整備士を続けている。
そんなシドニーさんがチャレンジしたいのは、ヘビー級のプロレスラーになること。スポーツ歴は「わんぱく相撲」くらいだが、来月には北海道に引っ越し、ガチでプロのレスラーを目指すんだって! 奮闘を見届けたいとお願いすると、快諾してくれたので密着決定!

you_20230123_02.jpg
1カ月後、いよいよ北海道へ旅立つと連絡が入ったので、山口県岩国市の実家で準備に励むシドニーさんを訪ねた。お金を節約し、荷物はマイカーのトランクに詰め込んでいくという。荷造りしながらも、「山口に住んどった間に、社会人プロレスラーだった」と教えてくれた。なんと、極太チェーンをふり回す極悪レスラーとして活動していたらしい。しかしながら、「回しとって(クサリが)自分の頭に当たった。その後の試合の記憶が全然なかった」と、天然な一面も。とにかく荷物を極限まで詰め、大好きなおじいちゃんにも別れを告げたら、いざおよそ1800㎞先の北海道へ!

you_20230123_03.jpg
車と大型フェリーを乗り継ぎ、21時間ほどかけて北海道の小樽港へ。早朝に到着すると、これからお世話になる「北都プロレス(2004年に旗揚げ)」の代表・クレイン中條(73歳)さんが出迎えてくれていた。「電話で数回話したら感じが良かった。それで好感を持ったもんですから」と、シドニーさんの採用を直感で決めたことも明かした。

you_20230123_04.jpg
深夜0時すぎ、中條さんの案内で生活の拠点となる札幌の寮へ。相部屋になるカツオ選手(所属レスラー)が引っ越しを手伝ってくれたので、スムーズに作業が完了。お礼をかねてビールをごちそうしながら話してみると、カツオさんは10歳も年上の先輩だったとわかった。シドニーさんは「20歳と思っとったけえ、すみませんでした...」と、天然ボケを謝罪し(笑)、ふたりはすっかり打ち解けるのだった。

you_20230123_05.jpg
翌朝8時30分、まずは「ほぼ牛丼」なる無味(肉の上にかろうじてチーズはトッピング)の「貧乏飯」で、朝の腹ごしらえ。給料はファイトマネーのみ、しばらくは無収入になるので節約第一なのだ。

you_20230123_06.jpg
練習を開始すれば、倒立前転や倒立に悪戦苦闘。受け身が上手くとれず背中を強打し、早くもヘロヘロだ。練習を見守る中條さんは、「本当のプロの練習は初めてだと思う。ウエイトを絞って機敏に動かないといけない」と、ぽっちゃり体型に警鐘を鳴らす。

you_20230123_07.jpg
シドニーさんが日本移住したのは2歳のころ。母方の実家・山口に住み、インターナショナルスクールに通った。しかし近所では外国人だといじめられ、スクールでは「日本人!」といじめられ、結果ひきこもりに。そんな時、心配した父が連れて行ってくれたのがプロレスだった。観戦には父の苦手な日本語も必要なく、親子の素晴らしいコミュニケーションツールになった。そこには運命の出会いも。それは、大仁田厚選手の試合。何度倒されても立ち上がって戦う雄姿に心を打たれ、「自分も強くなって大仁田選手みたいになりたいと思った」と、当時を振り返る。

you_20230123_08.jpg
その後はシドニーさんの猛特訓の日々が始まった。来る日も練習に励み、リングに立つ夢を見る。48日目には、中條さん&6人のレスラーとともに、幼稚園に慰問にも訪れた。
もともと化粧品会社で働いていた中條さん。しかしプロレスが好きすぎて、54歳で『北都プロレス』を旗揚げし、地域密着型の団体に。「子どもたちにプロレスは楽しいよと、北海道内のどんな小さい市町村でも行ってプロレスの良さを広めたい」と願う。


パフォーマンスをしたシドニーさんも、「僕の希望は子どもたちがプロレスを観てくれて、大人になってプロレスラーになる人が出て、一緒に戦うのが楽しみです」と、目を細めた。

you_20230123_09.jpg
北海道に来て2カ月。最初は苦手だった倒立も10秒以上できるようになり、動きも機敏になった。しかも、なんと10㎏の減量にも成功!

そんな順調なシドニーさんに、ある日中條さんから突然の呼び出しがあった。大事な話があるから公園にきてほしい、というのだ。不安を抱えて現場に向ったところ...、「デビュー戦が決まりました。11月27日、札幌大会でデビューしてもらいます」と、朗報が! これもひとえに、がんばりが認められた結果なのだ。

you_20230123_10.jpg
デビューに向け、ポスター・パンフレット用の写真撮影もスタート。まだ悪役か正義役か、キャラ設定が決まっていないので、一応2パターン撮影。...にしても、シドニーさんは悪役志望じゃなかったの? 「僕は日本人じゃないから、結構イジメられていた。そういう人たちに復讐したくて悪者になった。でも幼稚園に行ったら、子どもが僕に興味を持って好きになってくれたから、そんな子どもたちに悪い姿を見せられない」と、気持ちの変化を告白。さあ、どうする? デビュー戦は1カ月後だ。

you_20230123_11.jpg
試合当日、シドニーさんは正義か悪か、どちらに決めたのか? 会場にはすでに多くのお客さんが訪れ、中には愛する両親の姿も。
そしていよいよ試合開始。青コーナーから現れたのは...、ヒゲまで剃ってすっかり激変したシドニーさん! そう、なんと正義キャラでのデビューを選んだのだ!

you_20230123_12.jpg
試合が始まると何度も攻撃をくらってうろたえるが、大仁田選手のように立ち上がり、粘り強く反撃を繰り返した。会場は大盛況。しかし、最後は残念ながら、シドニーさんがギブアップ負けしてしまった。

だが、観戦してくれた両親や観客からは、彼のがんばりに対して温かいコメントが多数寄せられた。カッコよかったぞ! 攻撃で真っ赤に傷ついた胸元が痛々しいが、「こんなに硬いチョップを受けたことがないから、それだけで目が覚めた感じだった。ここからどんどん続けて、世界一のレスラーになりたい」と誓った。プロレス人生は始まったばかり、シドニーさん、これからも大仁田選手のように粘り強くがんばってね!

※このページの掲載内容は、更新当時の情報です。
x
x