VAGUE(ヴァーグ)

7年連続で世界記録を更新するブルガリの時計技術とは?

レア素材のタンタルから作られた世界でひとつの時計

“オンリーウォッチ(Only Watch)”とは、その名のとおり、さまざまな時計メーカーから世界でたったひとつの時計が出品される、「デュシェンヌ型筋ジストロフィー」の研究を支援するための時計のオークション。2年に一度開催され、2021年の11月6日に第9回目が開催される。

 初参加となるブルガリが出品するのは、7年連続の世界記録を達成した世界最薄の永久カレンダー(パーペチュアルカレンダー)を搭載した機械式時計「オクト フィニッシモ パーペチュアル カレンダー」の特別バージョン。

 今年の9月に発売されるチタン製モデル(683万1000円 消費税込、以下同)やプラチナ製モデル(1025万2000円)とは異なり、素材に“タンタル”という極めて希少な金属が使われている。密度は16.6g/立方センチメートルで、鋼鉄の2倍の重さを持つタンタルは、機械加工が難しく、ゴールド製ケースの4倍の時間がかかるのだとか。

 まさに、オンリーワンなウォッチといえるだろう。ちなみに、ダイヤルに注目すると、オンリーウォッチが開催される11月の表示が「NOV」ではなく「NOW」になっており、“ONLY WATCH”の「O」と「W」が色違いに。この遊び心のあるデザインもオンリーウォッチならではだ。

  • “オンリーウォッチ”に由来する文字盤に隠された遊び心も見逃せない

●うるう年までも計算して表示する永久カレンダー

 そして、この時計で忘れてはならないのがブルガリの技術の粋を集約した“永久カレンダー”の存在だろう。2100年の2月(うるう年の例外)まで調整不要で月日を表示し続ける永久カレンダー、その機能と技術力について、時計ジャーナリストの篠田哲生氏に伺った。

「30日までの月と31日までの月を自動的に判断して、正確に表示するだけでなく、うるう年の有無まで判断してくれる永久カレンダー機構は“三大複雑機構”の一角です。当然、メカニズムは複雑怪奇で、使用するパーツも多いのですが、それを僅か2.75mmという厚さのムーブメントにまとめ上げている。そのためには、設計、パーツ加工、組み立て技術の全てが最高峰でなければいけません」

 永久カレンダー搭載で世界最薄となるその厚さは、ケース込みでもわずか5.80mm。このなかに408個ものパーツが収められているというのだから、全ての技術が最高峰だというのも納得だ。では、なぜブルガリの時計技術はこれほど高いのか。

「ブルガリは1970年代から時計専業会社をスイスに立ち上げており、かなりハイレベルな時計作りを進めていました。そして2000年になると、ケース会社やダイヤル会社、そして実力派の時計工房など傘下に収めて、よりレベルの高い時計作りを始めた。かなり時計には本気なのです」(篠田氏)

 ただ豪華なだけでなく、技術や実用性も兼ね備えた時計ブランドとしても一目置かれるブルガリ。その薄さ、技術力をその目で確かめてみてはいかがだろうか。なお、オンリーウォッチに出品される時計は、10月8日から10日に日本で公開される予定だ。

Gallery 【画像】驚異の薄さを誇る永久カレンダー搭載モデル(3枚)
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