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「前抱え」はもう古い? 通勤電車のリュック問題「迷惑度ナンバー1」は背中や肩のリュック!? 知っておきたい最新マナーとは

●電車の中の迷惑度、ダントツNo1「リュックの持ち方・置き方」

 全国の私鉄が加盟する日本民営鉄道協会が2023年に発表した「駅と電車内の迷惑行為ランキング」によると、「荷物の持ち方・置き方」において、1位は「背中や肩のリュックサック・ショルダーバッグなど」となりました。

 そのほかの「座席に置かれた荷物」「床(足もと)に置かれた荷物」「傘(濡れ傘・先端を向けられるなど)」「乱暴なキャリーバッグの運び方」を大きく引き離し、46.4%の支持を集めました。

 今や、背負ったリュックが電車の中で一番の迷惑行為になっているようです。一時、コロナ禍により「荷物の持ち方・置き方」が注目される割合は減りましたが、乗客数が回復するに伴い、再び議論を呼んでいます。

 それでは、具体的にどのような点が迷惑と感じられているのでしょうか。

混雑時はどうしても持ち物が邪魔になるため周囲への配慮が必要
混雑時はどうしても持ち物が邪魔になるため周囲への配慮が必要

 たしかに、混んだ車内で、リュックを背負ったり肩にかけたりしていると、近くの人がどう感じているかはわかりにくいでしょう。もしかしたら、リュックの角がずっと後ろの人の脇腹にあたり続ける、などと気づかぬうちに人に苦痛を与えているかもしれません。

 一方で、ビジネスバックも、リュック型のものが定番になりつつあります。移動中でもメールや地図を見るのにスマホを使うため、両手が空けられるというのが理由のようです。

 通勤電車の中でも迷惑なリュックが増えている…。一昔前の手提げタイプのビジネスバックを持つ人からすれば、こうした状況を苦々しく感じられるのも理解はできます。

 そのため、以前は「リュックは前に抱えて乗る」というマナーが叫ばれたこともありました。

 とはいえ、そもそもリュックはかさばる存在です。ビジネスリュックでもマチは約20cmほどあり、そうしたものを分厚い胸の前に抱える人は2人分の厚みを持つことになり、前にいる人を圧迫してしまいます。

 結局のところ、車内が混雑するときにリュックは前に抱えても邪魔、との問題意識もあがっているようです。

 混沌とした現状を受けて、混雑する車内を快適に利用できるように、鉄道各社は手荷物についての新しいマナーを呼びかけています。

 関西の鉄道事業者19社局は、2023年3月に、「手荷物の置き方、持ち方」をテーマにして共同マナーキャンペーンを展開しました。具体的には、大きな荷物は網棚に、手荷物はヒザの上にとしています。

 さらに、リュックについては「手に持って」と提案。背負ったままでは迷惑だが、前に抱えるばかりではなく、いったん肩から降ろすことを意識してほしいというメッセージなのだといいます。

 また、関東地方の鉄道会社でも同様の啓発活動が行われています。

 リュックの持ち方などについて、関東地方の鉄道会社の担当者は次のように話します。

 「主に車内放送やポスターなどで啓発を行っています。車内放送においては、車内環境を考慮し放送内容を都度検討しており、現在は以下の内容にて車内状況をみて必要に応じ肉声及び自動放送にて実施しております」

 リュックに関する車内放送は次のようなものです。

 「お客様にお願いいたします。リュックサックなど大きな鞄をお持ちのお客様は、手にさげてお持ちになるか、座席上(うえ)の荷物置きをご利用ください」

 このようなアナウンスは、混雑する車内を快適に、一人でも多くの人に利用してもらうことが目的であり、決して利用客それぞれの手荷物の持ち方を否定するものではないといいます。

Next問題なのは持ち方よりも周囲への配慮?
Gallery 【画像】混雑時における荷物の持ち方を画像で見る(10枚)
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