小さな子供でも飲める薬「改源」の売上が西高東低すぎ!東日本で定着しない理由は「関西弁のCM」!?

東京ウォーカー(全国版)

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風邪薬の「改源」をご存知だろうか。風神さんが雲やタクシーに乗ってハーックション!と大きなくしゃみをし、「かぜひいてまんねん」と言うCMでおなじみの「改源」だ。関西出身の筆者も、幼い頃に祖父母から改源を飲まされた記憶があり、当然全国で飲まれている薬だと思っていた。

しかし常備薬としても優れた風邪薬の改源について、カイゲンファーマ株式会社 営業企画部の石原真二さんに取材をおこなったところ、西日本エリアと比較して東日本エリアではあまり飲まれていないことが発覚。

今回は、「誰もが知っていると思ったのに!」と衝撃を受けた改源ユーザーの筆者が、改源が全国で知られていない理由を石原さんに聞いた。

水色に赤の文字がレトロかわいいパッケージ。キャッチコピーは「備えるかぜ薬」


インパクト大の風神さんが目印!「改源」ってなに?

改源とは、生薬と洋薬が入った風邪の引きはじめに飲む薬。自然由来の原料を使用し、眠くなる成分が入っていないのが魅力だ。さらに年齢に合わせて粉の量を調整でき、なんと小さな子供でも飲むことができる。

大正13年の発売当時の改源。現在と変わらない薬包紙だった

粉薬だけでなく錠剤やカプセルでも販売されている。「粉薬が苦手」という人でも服用することができる


改源は大正13年に登場して以来愛され続けているが、薬とともに有名なのがマスコットキャラクターの「風神さん」。「かぜひいてまんねん」のCMでおなじみの彼は、昭和58年生まれの御年38歳(!)。「人々にインパクトを与えよう」という狙いから、江戸時代初期の画家である俵屋宗達が描いた『風神雷神図屏風』の風神をモデルにしたキャラクターだ。

改源のマスコットキャラクター「風神さん」。「これって鬼ですよね?」と間違われてしまうこともあるという


CM以外にも、実は大阪・戎橋のグリコ看板の横にも改源の看板が。昭和41年に設置された当初の看板には「かぜに改源」の文字のみで、風神さんが描かれた看板は昭和62年に改装されたものだ。

昭和41年に登場した宣伝看板には「かぜに改源」の文字だけ。風神さんはまだ誕生していなかった

現在の看板。改源100周年に向けた取り組みの一環としてデジタルになり、夜でも明るく見やすい。風神さんも高画質に⁉


売上が西高東低すぎ!理由は「かぜひいてまんねん」?

「改源」といえば「風神さん」。「風神さん」といえば「かぜひいてまんねん」。アニメ『平成天才バカボン』のバカボンのパパ役である声優・富田耕生さんが声をあてる風神さんは、話し言葉からわかる通り関西生まれ。かなりインパクトのあるCMだったはずだが、なぜ関西ばかりでメジャーとなったのだろうか。

「CMを放映する前は街頭宣伝やラジオ、新聞などでの広告がメインでした。そのため、最初は改源の生まれ故郷である関西で特に人気になり、街の薬屋さんをはじめ地元の方々に親しまれていました。全国展開を狙って昭和57年にテレビCMを放映し始め、テレビCMをたくさん放映していた3〜40年ほど前は売上も最高潮でしたが、関西以外の地域ではライバル会社が多かったことが原因で、うまく市場を勝ち取ることができませんでした」

2020年には、ついに東日本と西日本での売上に2倍以上もの差がついたという。そのもう1つの理由に、『CMのセリフ「かぜひいてまんねん」が原因では?』とされる説が浮上した。

改源シリーズはどれも東日本よりも西日本のほうが圧倒的に売上が高い。特にしょうが系の商品は関西で大人気だ


「『かぜひいてまんねん』と話す風神さんの関西弁が、『当時の関西以外の方々にとってはキャラが強すぎたのでは?』ということも囁かれています。関西人の方には『風神さんも風邪ひくんや!』というツッコミどころがおもしろいと好評でしたが、それ以外の方にとっては強面の風神さんがコテコテの関西弁を話す姿が強烈すぎたのかもしれません」

テレビCMが始まった昭和58年頃は、ちょうど「漫才ブーム」が始まった時期。関西弁が漫才とともに進出し始めたばかりで、今ほどテレビで「関西」や「関西弁」にフォーカスをあてられているわけではなかったと思われる。

そんななか、彗星の如く現れた「かぜひいてまんねん」という言葉。関西弁になじみがない人も多かった時代に直球かつインパクト勝負で戦いを挑んだ改源の風神さんは、もしかすると全国に関西弁を認知させた功労者の1人なのかもしれない。

全世代に定着させるための工夫

「地域だけでなく、年代ごとの知名度の差も激しい」と石原さん。テレビCMをリアルタイムで見た40代以降は薬を知っている人も多いが、30代より下の世代にとって「改源ってなに?」とその存在をまったく知らない人も多いそう。

それは人気を誇る関西でも同様で、石原さんは若者に浸透していない主な原因の1つが「核家族化」ではないかと考えている。

「一家の常備薬として長らく愛飲されていた薬でしたが、近年の核家族化や若者の1人暮らしの増加によって、へビーユーザーであるおじいちゃんやおばあちゃんと別々で暮らす人も多くなっています。親から子へ、子から孫へと代々受け継がれて愛された薬だったからこそ、若い人が薬を手に取る機会が少なくなり、認知度の低下に繋がってるのだと思います」

主なユーザーはお年寄り。昔から「かぜといえば改源」と広まっていることもあり、現在も定期的に常備薬としてまとめ買いをしている人も多いんだとか。

しかし大きな課題は、若者へのアプローチ。カイゲンファーマは若い人たちに薬を知ってもらうため、近年ではインターネットやYouTubeでのCM放送、SNSでの発信をしたりとさまざまな取り組みをおこなっている。

昔から変わらない薬包紙。少量だけ飲みたい時など、残った分をそのまま保管できてとても便利


また、改源の粉末タイプは昔ながらの薬包紙。一時期は袋型などの包装も検討されたが、消費者から「変えないでほしい」との声が多くあがったこともあり、現在も薬包紙の包装を続けている。「昔ながら」を変えず、長年のファンを大事にするのが改源流。良いところは残しながら、新たな顧客を開拓するのが大きな目標だそうだ。

薬包の微細な形の崩れなどを瞬時に見分けて取り除く工程。1分間に108個の薬を作ることができる

熟練のパートさんたちが1つずつ手作業で詰めていく


コロナにも風邪にも負けない!“備えるかぜ薬”を目指して

2020年より続くコロナ禍で、改源も岐路に立たされている。さまざまな情報が交錯した影響で、アセトアミノフェンが含まれる改源も売上が爆発的に上昇した。しかし現在は人々が手洗いうがいやアルコール消毒を徹底するようになって、風邪を引く人自体が少なくなる傾向に。それに伴い、売り上げは1〜2割減少している。

「パペット風神さん」はこれからの改源のCMを担うスター。「かぜひいてまうで⁉︎」が決め台詞


「風邪を引く人が少なくなることは本当にうれしいですが、会社としては新たな道を探さなければいけません。コロナ禍の影響で外出がしづらくなり、発熱外来など病院に気軽に行くことが難しくなった今、おうちで風邪の引き始めにサッと飲める改源は、これから必要なお薬となるのではないでしょうか。今は本格的な風邪の重症化予防の常備薬としての位置づけを獲得できるように尽力中です。特に若い方々にもっと知ってもらうために、インターネットなどでの広告にも力を入れているところです」

風神さんはかわいらしいフォルムでより親しみやすい存在に


来る2024年は、改源誕生100周年。カイゲンファーマ株式会社はYouTubeなどでの宣伝を今以上に活発にし、関西圏以外に住む人や若者たちに知ってもらう機会を増やす予定だという。

最新のCMでは、風神さんがかわいいぬいぐるみとなって復活。「かぜひいてまうで⁉︎」と“備えるかぜ薬”としての宣伝に変化している。長い歴史を歩み多くの人々に愛されている改源は、次の100年後も「かぜに改源」と愛されるべく、まだまだ進化を続ける。

ちらりとこちらを見つめる風神さんが伝えたいのは、常備薬の大切さだ


取材・文=福井求

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