ガンダムファンがニュータイプに?「ガンダムメタバース」は“物理的な距離や言語の制約”なくファン同士が交流できる場所

東京ウォーカー(全国版)

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バンダイナムコグループ チーフガンダムオフィサー(CGO)・藤原孝史氏

バンダイナムコグループは、「世界中のガンダムファンが集い、語り合い、さまざまなカテゴリーのコンテンツに出合い、ふれあうための場」を創出すべく、「ガンダムメタバース」の開発に着手している。今回はこのプロジェクトを展開するバンダイナムコグループ チーフガンダムオフィサー(CGO)・藤原孝史氏にインタビューを実施。「ガンダムメタバース」という取り組みについて、また、今後の展望について話を聞いた。

今年の3月、「SIDE-G」という名で発表された「ガンダムメタバース」。これは、ガンプラ、アニメ、ゲーム、音楽など、さまざまなカテゴリーのオンラインコミュニティ(スペースコロニー)で構成されるもので、続々と仮想空間内に打ち上げられる予定だという。

「ガンダムメタバースプロジェクト」 イメージ


例えば“ガンプラコロニー”では、自作のガンプラを使ったガンプラバトルや、ガンプラオンライン講座なども構想。SNSでは「どんなメタバースになるのか楽しみ」「面白そうな試み」といった期待の声も寄せられている。

「ガンダムメタバース」のやるべきことは“ファンコミュニティの醸成”


――バンダイナムコグループの横断プロジェクト「ガンダムプロジェクト」の発表会で、藤原さんは「ガンダムをキャラクター“IP(知的財産)”から、社会的アイコン“SP”(Social Property)へ成長させる」とおっしゃられていましたが、IPとSPの違いを教えてください。

【藤原孝史】定義は難しいのですが、IPは事業を考えていくうえで核となるもの。SPは事業ということだけではなくて、もっと広く、社会的に認知されていくのが大事だと思います。おかげさまでガンダムは一定の認知はありますが、まだ万人のものではないと思っています。男性、女性、年齢、国内、国外……シームレスな環境を考えたときに、ガンダムが社会的アイコン、すなわち“SP”へ成長すればいいなと考えています。

ちなみに、未来の夢と希望を現実化するプログラム「ガンダムオープンイノベーション」を昨年立ち上げたとき、10以上の企業と一緒に取り組みを始めることになったのですが、やはりそれもガンダムという作品からインスパイアを受けて立ち上げることとなりました。このプログラムで、現代社会の課題の解決に向けて働きかけようと思ったとき、ガンダムだからこそ、非常に多くのご賛同、ご協力をいただくことができたのだと思います。

「ガンダムメタバースプロジェクト」バンダイナムコIDでの連結イメージ


――なるほど、これからは“社会貢献”に積極的に取り組むことで、ガンダムを“社会に認知されたアイコン”に成長させていくわけですね。ではSPに成長させるうえで、「ガンダムメタバース」が果たす役割はなんでしょうか?

【藤原孝史】1つはデジタルというツールを使うことによって、ガンダムファンが場所を選ばずに集まれるということ。当社がこれまで実施してきたイベントでは、物理的な距離があったり、会場のキャパシティの問題があったりしました。“広くファンを集める”ということはやってきたのですが、世界規模で考えたとき、やはり規模も非常にミクロなものであったかなと。その点、「ガンダムメタバース」では場所や言葉の制約なく、且つ、ファンがコミュニケーションできる環境を作れる。そこが大事なポイントだと思っています。

「ガンダムベースヴァーチャルワールド」


――メタバースは世界の潮流でもあります。「ガンダムメタバース」はガンダムファンが集うVR空間とのことですが、ほかのメタバースと差別化する方法は何でしょうか。

【藤原孝史】我々が考えるメタバースでは、ファンのコミュニティをどのように醸成していくか……というのを考えています。デジタル空間にただアバターがたくさんいる、ということを目的にするのではなく、「ガンダムメタバース」では、ファンが集まってきちんと交流できる場を構築すること、“行きたくなる場にする”ことを考えています。

“行きたくなる場にする”ということについては今後研究しなければならないのですが、「居心地の良い場所にすること」、「同じものを好きだという一体感」、「それらをデジタルのなかでどう調整するのか」、そうした点を軸に大切に考えていきたいと思います。

――いまお話しいただいた「ガンダムメタバース」の着想のきっかけは?

【藤原孝史】2年ほど前に、たくさんの人がいる仮想空間、そこで事業を展開していければ、と思って進めていました。

ですが、現実世界でできることをデジタル空間で展開して、アバターを起こして、となるとわざわざやる必要あるのかな?となって。我々の自己満足ではなく、ガンダムファンのために、デジタル空間だからこそできることを考えると、“物理的な距離の問題”や“キャパシティの制約”なく、ファンがコミュニケーションできる環境を作るということが大切なんだと。やるべきことは「ファンコミュニティの醸成」なんだという思想に至りました。もしかしたら最終的にはほかの企業が考えるメタバースとは異なる形式になる可能性もあり得ます。

――ガンダムの世界では、言語や距離を超えてわかりあえる、非言語的なコミュニケーション能力を持つ“ニュータイプ”という概念が生まれました。「ガンダムメタバース」は、ファン同士がニュータイプになれる場なのかもしれないですね。

「ガンダムメタバース」はガンプラのコミュニティからスタート!


――「ガンダムメタバース」をスタートさせるうえで、悩みや苦労はありますか?

「ガンダムメタバース」への想いを語った藤原氏


【藤原孝史】世界中の人が同時に入れる場所ができたとして、全員がコミュニケーションを自由に取れるのか?そこが問題でもあります。もしかしたら、場の提供と言いながらも、ある程度背中を押すようなきっかけを我々が作る必要もあると思います。急に1000人規模から作るのではなく、小さい規模から検証し、広げていくというプロセスも考えています。

――「ガンダムメタバース」は、スペースコロニーになぞらえたコミュニティが軸となるとのことですが、ガンプラ、アニメ、ゲーム、音楽などで、どのジャンルのコミュニティがからスタートするのでしょうか。

【藤原孝史】まずはガンプラで、と決まっています。明確にファンの存在などもわかっていますので。今年のどこかでガンプラのメタバースを立ち上げ、来年度に向けてゲーム(ガンダムのeスポーツ)を……と考えながらやっています。さまざまなジャンルを同時に進めていくのか、足していくのか、そこはお客さまの居心地の良さを考えながら進めていきたいと思います。

――ガンプラ45周年を迎える2025年には、先ほどのスペースコロニーをつないだ「ガンダムメタバース」宙域、 その名も「SIDE-G」の全貌が見えるようにしたい、とおっしゃられています。メタバースの人口、経済圏の規模などはどれくらいを想定していますか?

【藤原孝史】まずは1000万都市とか、そのくらいの規模の経済圏を目指したいです。そこがゴールというわけではなく、熱量の高いファンが発信源となり、新たな人を呼び込んでいただければ。核が大きくなっていくことを考えています。

――この取り組みが進むと、ガンダム経済圏が確立され、現実世界ともリンクしていくのでしょうか(現実のアパレルやショップなどが「SIDE-G」でも利用できるのか)?

【藤原孝史】可能性としては、あると思います。また、これまでのバンダイナムコとユーザーという関係だけでなく、仮想空間上ではありますが、バンダイナムコグループ以外の企業の参入やC to Cビジネスの推進により、新たな経済圏を創出していきたいと考えています。そこには新たな課題が出てくるかもしれませんけど。

――「ガンダムメタバース」が軌道にのった際、ガンダムファンの生活はどう変容するとお考えですか?

【藤原孝史】変容というより、ファンにとって一番ベストな環境に近づいていきたいと考えています。メタバースの空間の居心地の良さを提供するだけでなく、ユーザーの顕在化によって、当社が取り組まなければならない商品化の領域も見えてくると思うので、それをきちんと提供できる環境というのができてくるのだと思います。

――「ガンダムメタバース」の直近の動向について、告知などありましたら教えてください。

【藤原孝史】まずは、ガンプラにフォーカスしたバーチャル空間で「ガンダムメタバース」の面白さに触れていただけるよう、開発に注力しています。頑張っていますので、もう少しお待ちいただければと思います。

文=平井あゆみ
撮影=若狭健太郎

(C)創通・サンライズ

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