「ヒットを出すことには興味がない」山崎まさよしと北村匠海が語る、アーティストが映画に出演する意味

東京ウォーカー(全国版)

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映画『影踏み』について語った山崎まさよしと北村匠海撮影=TAKU KATAYAMA


ミステリー界の巨匠・横山秀夫の原作小説が元となった映画『影踏み』が11月15日から公開中。本作で主演を務めたのはシンガーソングライターの山崎まさよし。そして、山崎演じる真壁修一を「修兄ィ」と慕う若者・啓二を演じたのが、若手俳優として注目を集めている北村匠海だ。昨今、俳優・ミュージシャン・声優など演者の垣根があいまいとなり、マルチに活躍する人が増えている傾向にある日本のエンタメ業界。映画の制作秘話をはじめ、アーティストが演じることの意味について、2人のアーティスト山崎まさよしと北村匠海が語ってくれた。

「役者人生イチのプレッシャー、ここでかませないと終わると思った」(北村匠海)


【写真】主演で泥棒役の山崎まさよし&弟役で金髪姿の北村匠海


本作が公開前から注目を集めている理由の一つが、豪華キャスティング。尾野真千子や、滝藤賢一、鶴見辰吾、大竹しのぶら、演技力が評価されている名優たちのメンバーの中で、物語のキーマンとして起用されたのが、アーティストである山崎まさよしと北村匠海だった。このキャスティングについて、2人はどのように捉えているのだろう。

北村匠海撮影=TAKU KATAYAMA


【北村匠海】キャストの方々を知ったときは、正直ビックリしましたね。豪華すぎるメンバーの中で、僕の名前がある…こんな貴重な座組みに入れていただくなんて…と冷や汗が止まりませんでした(笑)。いい意味で役者人生一のプレッシャーを感じましたね。「ここでかませないと終わるな」「かませなかったら、自信なくなっちゃいそうだな」と思って、いつも以上に気合いを入れて現場入りしましたね。

【山崎まさよし】匠海くんの言う通りで、僕もこんなに豪華な方々と絡めることは後にも先にもないんじゃないかなと思いました。だから匠海くん同様「かまさんと…!」って思いました。

【北村匠海】ちょっとマネしないでくださいよ(笑)。

【山崎まさよし】ごめん、ごめん。それにしても、匠海くん本当にそんな風にプレッシャー感じてたの? 一番、初めの本読みのときから、コンビニの袋ぶらさげて、ずいぶんフランクに入ってきたなって思ったけど(笑)。

【北村匠海】僕どこに行くにもそんな感じなんで、勘弁してください(笑)。でも、たしかに、現場入りするころには、緊張とかプレッシャーとか、いろいろ超えてたのかもしれません。僕、プレッシャーを抱えすぎると無の境地に入っちゃうんです。だから、まさよしさんにお会いしたころには、すでに無の境地に入っていたのかも(笑)。それに、いざ現場に入ったら、皆さんが非常にかわいがってくださったので、自然とリラックスして臨めました。本当にありがたかったですね。

14年ぶりの主演は「地を這うような人なら演じられると思った」(山崎まさよし)


山崎まさよし撮影=TAKU KATAYAMA


1996年に公開された『月とキャベツ』以来、篠原哲雄監督と山崎まさよしが22年ぶりにタッグを組んだ本作。さらに今回の作品は、山崎にとって、実に14年ぶりの長編映画の主演作ともなった。

【山崎まさよし】14年ぶりなんですよね。自分でもあまり意識はしていなかったんですけど。でも、ちょうどこの作品のオファーが来る前に、(竹原)ピストルと呑んでいて、「山崎さん、もう役者やらないんですか?」って言われて、そしたら、数日後にこの話が舞い込んできて、キャストをみたらピストルもいて(笑)。不思議なもんですよね。

映画『影踏み』より (C)2019「影踏み」製作委員会


【山崎まさよし】豪華すぎるキャストに、篠原監督を始めとする信頼している制作陣、断る理由がありませんでしたもん。それに「泥棒役」というのもよかったんですよね。なんというか、泥棒って人間界の中でも、こそこそと地面に近いところにいて、猫のように地を這って、下から人を眺めるような役どころでしょ? それって、僕のアーティストとしての姿勢に似ているな、重なる部分があるなと思ったんですよ。たぶん医者とか、弁護士役だったら断っていたかも。

「ヒットよりも、相乗効果のあるものを作り出したい」(山崎まさよし)


山崎まさよし(左)、北村匠海(右)撮影=TAKU KATAYAMA


アーティストとしての活動を始めてから25年を迎える山崎まさよしと、子役としての活躍を経て、現在はダンスロックバンド・DISH//のリーダーを務める北村匠海。普段はアーティストとして活躍する2人は、共演してどのような印象を抱いたのだろうか。

【北村匠海】僕、演技をするときの間が「独特だ」って言われることがあるんですよね。昔、寺尾聰さんに「音楽をやっているやつは、リズムで演技するんだよな」って言われたことがあって。その言葉の意味が、今回まさよしさんと共演してようやくわかった気がしました。まさよしさんが創り出す空気感にすーっと飛び込んだだけなのに、すっごくやりやすかったんです。

【山崎まさよし】たしかに匠海くんの醸し出す空気感って、他の人には感じたことのない感じだったな…。でも、僕も僕で、匠海くんが作ってくれた空気に乗っかったつもりだったから、今お話を聞いて「乗っかってくれてたのか」って驚きました。もしかしたら、お互いに同じように歌を歌っている表現者として、予定調和でないことが起きても楽しめるんじゃないかっていう信頼感があったんでしょうね。

アーティストとして映画に携わる醍醐味


完成披露上映会で楽曲を披露する山崎まさよし(C)2019「影踏み」製作委員会


本作で劇中に流れる劇伴と主題歌を担当した山崎。曲作りのポイントは「ヒットを出すこと」は意識していないと明かす。

【山崎まさよし】スタッフの中には『月とキャベツ』を超えるものを求めていた人もいたかもしれません。でもね、僕自身は「ヒットを出さなあかん」「すごいバラードを作らなあかん」だなんてまったく考えていませんでした。第一、ヒットって「作ろう」と思って作り出せるほど簡単じゃありませんから。それよりも、映画における音楽の大事な役割って、映像の中に映し出されたシーンを引き立たせることだと思うんですよ。だから、絵があって、音楽があって、初めてなりたつエンターテインメントですから、相乗効果を生み出すことを意識して作りました。

映画『影踏み』より (C)2019「影踏み」製作委員会


【北村匠海】実際に映像に曲が乗っかったものを拝見したときは、なんというか不思議な感覚になりましたね。画面に映し出されているのは自分のはずなのに、すごく新鮮でした。やっぱり音楽の力ってすごいなって思いましたし、これを表現できる「“山崎まさよし”、すげー!」って思いました。

山崎まさよし(左)、北村匠海(右)撮影=TAKU KATAYAMA


【山崎まさよし】なんとなく見た人が幸せで、納得した気持ちになるものを作りたかったから、うれしいですね。撮影現場で曲を作ることもあったのですが、そういう時には匠海くんに何度か意見をもらうこともあったので、そう言われるものを作れて本当に良かったです。でも、まあ、自分の芝居を繰り返し見ながら、歌を作るって「地獄の苦しみやな」って改めて思いましけど(笑)。

最後に芸能界で長く活躍するアーティストであり、演者でもある山崎に、同じように活躍する北村へのアドバイスを聞くと、北村匠海が注目されている魅力を教えてくれた。

【山崎まさよし】いやー僕から言うことなんてないくらい、北村くんは成熟していますけどね。子役から始まり、音楽に、演技と一筋縄ではいかない芸能界で着実にステップアップしているのは、自分の中にぶれない芯があるからだと共演して思いました。深くは話さなくても、北村くんに潜むバックボーンを感じることが多々ありましたもん。僕自身、自分のやり方で25年間やってきましたが。北村君は自分の気持ちを貫き通しながら、個性をギャップとして見せて、進んでほしいですね。

山崎まさよしヘアメイク=三原結花(M-FLAGS)  山崎まさよしスタイリスト=宮崎まどか

於ありさ

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