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香港大学の学食のクールなスマホ決済に、「一見客お断り」された気分

2016.09.07

Updated by Hitoshi Sato on September 7, 2016, 06:20 am JST

香港大学は1911年に設置された香港最古の大学だ。学生数も2万人以上をかかえる香港を代表する総合大学だが、観光地でもないので、日本人には馴染みも少ないだろう。

その香港大学の1つの学食で、スマホでのモバイル決裁を導入している。スマホに専用アプリをダウンロードしてそれを読み取り機にかざして、出て来たレシートを持ってカウンターに並んで食事を受け取るのだ。

香港大学は一般の人でも入れるので、近隣の住民と思われる人も学食で食事をしているが、学生以外でもそのアプリはダウンロードして利用できるようだ。だが、外国人の私には敷居が高い。そもそもどうやってそのアプリを探してダウンロードして決済すればいいのか、案内がどこにもない。店内のどこかにモバイル決済を利用せず現金で購入できるところがあるのだろうが、周囲を探しても見当たらない。仕方ないので、諦めて香港大学の学内にある他の店で食事をした。学内にある他の店舗では現金で支払ができた。

大きなキャンパスの中は他の学食やサブウェイ、スターバックスも2軒あり、さらに売店やカフェなども充実しているので、そこの学食でモバイル決済が出来なくても食事場所には困らない。ただ大きな学食で安くて美味しそうだったし、そして何も香港大学に来てまで、サブウェイのサンドウィッチやらスタバの高いコーヒーを飲みたくはない。だが仕方ないので、それらで我慢した。

香港大学ではスマホ専用アプリを導入して決済を効率化しているのだろう。学生やふだんから香港大学の学食を利用している近所の香港人はいいが、私のように外国から訪れた者には敷居が高いどころか、ほぼ購入は無理である。日本に来た外国人が「モバイルSuicaでしか決済できない店」に来てしまって、食事ができないようなものだ。

まさに「一見客はお断り」されているような感じだった。香港大学には多くの外国人ビジターが訪問している。たしかにスマホでのモバイル決済なら効率的な運営が可能だろうが、もっと外国人や一見客にも優しい対応をしてもらいたいものだな、と感じた。2016年7月10日には米国のジョンズ・ホプキンス大学からも多くの学生やスタッフが香港大学に来ていた(アメリカ人は学食の香港の食事よりもスタバやカフェの方がよかったのかもしれないが)。

それとも普通の外国人ビジターはそもそも学内の学食なんて利用しないのだろうか。

▼香港大学の学食でスマホをかざす読み取り機。出てきたチケットを持ってカウンターに行く。
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▼香港大学学食でのモバイルアプリの利用方法説明
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▼香港大学の学食。他にもいくつも食べるところは学内にあるので、ここで食べられなくても学内で困ることはない。
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▼香港大学内にある別の学食。ここも地元の香港人も多く利用していた。
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佐藤 仁(さとう・ひとし)

2010年12月より情報通信総合研究所にてグローバルガバナンスにおける情報通信の果たす役割や技術動向に関する調査・研究に従事している。情報通信技術の発展によって世界は大きく変わってきたが、それらはグローバルガバナンスの中でどのような位置付けにあるのか、そして国際秩序と日本社会にどのような影響を与えて、未来をどのように変えていくのかを研究している。修士(国際政治学)、修士(社会デザイン学)。近著では「情報通信アウトルック2014:ICTの浸透が変える未来」(NTT出版・共著)、「情報通信アウトルック2013:ビッグデータが社会を変える」(NTT出版・共著)など。