「スマホタテ」や「青森けん玉」が人気 福祉作業所発のダジャレ雑貨

野田佑介
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 ホタテの貝殻を使ったスマホ立てに、思わずかじってしまいそうな南部せんべいそっくりのコースター。青森にちなんだユニークな雑貨を、青森県八戸市の福祉作業所「あおば」の利用者が制作している。SNSで話題になり、県外からも問い合わせが寄せられるほど人気を呼んでいる。

 きっかけは、スタッフの西村豪(たけし)さん(34)の「ひらめき」だった。

 八戸で生まれ育ち、ふるさとが大好きな西村さん。青森にちなんだもので地元を盛り上げられないかと、いつも思案していた。昨年6月ごろのある日。仕事中にひらめいたのが、全国有数の水揚げ量を誇るホタテとスマホの組み合わせだった。

 「実はダジャレから生まれたんです」と笑って見せてくれたスマホ立ては、その名も「スマホタテ」。

 近くの市場からホタテの貝殻を譲ってもらい、作業所で試作を重ねた。

 貝にスマホを差し込む穴を開け、スマホが倒れないように穴の大きさや位置を細かく調整。スタッフや利用者の意見を聞き、穴の周りにはビニールチューブを取り付けた。これなら、スマホも、使う人の手も傷つかない。

 貝殻に穴を開けるのはスタッフだが、それ以外は利用者に任せている。重要なのは貝殻のヤスリがけ。作業のスピードは人によって異なるが、1日に磨けるのは1人3~5枚ほど。スタッフが仕上がりを確認し、不十分なときは磨き直しをお願いする。

 施設を利用する磯島典子さんは「『もう少し磨いてもらえますか』って言われることもよくあります。買っていただいた方に安心して使ってもらえるように、丁寧に磨いています」と笑顔を見せる。

 ダジャレから生まれた雑貨はまだまだある。

 青森県の形に切り抜いたヒバの木をけん玉と組み合わせた「青森けん(県)玉」。南部せんべいそっくりのコースターは「こびりっコースター」。青森や岩手を含む南部地方でおやつをさす「こびりっこ」と、コースターをかけた。

 あおばでは青森のヒバを使った玩具を作っており、木の加工はお手のもの。「青森けん玉」はけん玉の胴部分に、下北半島と、津軽半島の根元部分までの形に切り抜いた木を取り付けた。津軽半島の根元部分には「けん先」をつけ、玉が刺されば青森県の形のようになる。

 コースターは直径約10センチ。丸い板を大小2枚重ね合わせてみたところ、見覚えのある南部せんべいの形に。ヤスリがけをした板にゴマや落花生、エビなど8種類の模様を特殊加工で描く。

 パソコンでデザインを考えたり、商品を袋詰めしたりするのは利用者たちだ。ヤスリがけをする庭野廣樹さん(32)は「たくさんの人に買ってもらえてうれしいし、やりがいがある」と汗をぬぐった。

 西村さんは「おかげさまでたくさんの注文をいただきありがたい。売り上げが増えれば、利用者の工賃にも反映される。青森が盛り上がるようなものを、これからも作っていきたい」と力を込める。

 スマホタテは大中小の3種類があり、どれも一つ1千円。青森けん玉は1800円。コースターは1枚500円。いずれも税込み。問い合わせは、あおば(0178・80・7033)へ。午前9時~午後6時、日曜定休。(野田佑介)

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