文大統領(左)と尹検事総長(コラージュ)=(聯合ニュース)
文大統領(左)と尹検事総長(コラージュ)=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国のソウル行政裁判所が24日夜、尹錫悦(ユン・ソギョル)検事総長に対する停職2か月の懲戒処分の効力を停止する決定を下し、文在寅(ムン・ジェイン)政権に衝撃が走っている。

 

 ただでさえ新型コロナウイルスのワクチン確保の遅れで国民の不安が高まっている中、文大統領が自ら承認した尹氏の懲戒が事実上の白紙となり、検察の権限縮小を図る検察改革を進める文政権への打撃は必至だ。政界では、ともすれば政権がレームダック(死に体)に陥りかねないとの声も出ている。

 青瓦台(大統領府)は前日に続き、25日も裁判所の決定に対する正式なコメントを控えている。青瓦台の関係者は聯合ニュースの取材に、私的な意見だとした上で、裁判所の決定とは関係なく、政府高官らの不正を捜査する独立機関「高位公職者犯罪捜査処(公捜処)」発足を含む検察改革に取り組むと語った。

 政権側には、当面は守勢に立たされることになっても、公捜処の発足や来年初めの検察人事などによって主導権を握れるだろうという楽観的な見方もある。

 だが、尹氏に対する懲戒の名分として掲げた検察改革の妥当性は、裁判所の懲戒停止の決定により色あせた。今回の件により、低迷している文大統領の支持率挽回が難しくなったとの観測もあり、青瓦台は改革の勢いを得るのに難渋しそうだ。

 こうした中、政権内では内閣改造や青瓦台高官の交代を前倒しで実施し、局面転換を図ることを検討すべきとの声も出ている。

 尹氏への懲戒を主導した秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官の後任を速やかに指名するとともに、内閣改造の対象に挙げられる産業通商資源部、科学技術情報通信部などの長官も一緒に入れ替え、ムードを一新するというシナリオが取り沙汰されている。内閣改造とあわせ、青瓦台の秘書官らの大幅な入れ替えも行われるかどうか注目される。

 ただ、2022年の大統領選に向けたレースを控える中、長官や秘書官の適切な後任を見つけるのは容易ではない。さまざまな悪材料を抱え、文大統領の悩みは一段と深まりそうだ。

 一方、尹氏は裁判所の決定を受け、25日に大検察庁(最高検)に出勤して職務に復帰した。尹氏は文大統領の承認で停職が確定した翌日の17日から出勤していなかった。


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