FTXが破綻した数時間後に発生した4億ドルのハッキング事件は、先月米国の検察当局によって起訴された3人の人物が関係しているとのことだ。

ワシントンDC地区連邦裁判所に提出された文書によると、ロバート・パウエル被告、カーター・ローン被告、エミリー・ヘルナンデス被告は、SIMスワップ攻撃を行い、仮想通貨を奪ったとして起訴されている。この3人は50人の被害者の身元を偽り、通信事業者に被害者の電話番号を自分たちの電話に移行させるよう説得し、SIMスワップ攻撃を実行したという。

訴状によれば、2022年11月11日と12日に「被害者企業1」に対する攻撃が行われ、ヘルナンデス被告が同社の従業員を装い、パウエル被告がそのAT&Tアカウントにアクセスし、企業のアカウントに侵入し、「4億ドル相当の仮想通貨」を仮想通貨ウォレットから移動したとされている。

ブロックチェーンセキュリティ企業エリプティックは2月1日のブログ投稿で「FTXが起訴状に記載された"被害者企業1"である可能性が高い」と指摘している。

FTXは11月11日に破産申請を行ったが、その数時間に同社の仮想通貨ウォレットから約4億ドルに相当する複数の不正な取引が発生している。

ブルームバーグの2月1日の報道では、2人の関係者の証言をもとに、起訴状に記載された企業がFTXであることを確認したという。

ハッキング直後には、一部の資金が仮想通貨取引所クラーケンに送金された。クラーケンの最高セキュリティ責任者ニック・パーココ氏は、その時点でユーザーの身元を把握しているとツイートしていた。

その後数ヶ月にわたり、犯罪者のウォレットは資金を異なるブリッジやブロックチェーンを通じて移動させ、盗まれた仮想通貨のロンダリングを試みていた。

FTXの現CEOであり再建を担っているジョン・J・レイ三世氏は、破産後に同社を引き継いだ際、セキュリティの甘さと適切なシステムの欠如のせいで「地獄のような状況」だったと語っており、これがSIMスワップを行ったとされる3人の格好の標的となった可能性が高い。

パウエル被告、ローン被告、ヘルナンデス被告は、電信詐欺の共謀などで起訴されている。