何げないシーンから人柄が見えた。27日・ヤクルト戦。先発の大竹は七回1死満塁で交代を告げられた後もマウンド上の円陣から動こうとしなかった。2番手の桐敷に一声かけるためだった。

 「そうしないといけないからしたではなくて、そうしたいからしました。あそこで行くというしんどさを踏まえて『よろしく』と」。後輩がマウンドに向かってくると帽子を取って話しかけ、一塁ベンチへ戻った。

 先発投手は常にチームの雰囲気を感じられない面がある。チームが遠征に出ても、登板予定がない場合は甲子園などでの残留練習に参加するため、登板する日しかベンチ入りしないから。「週に1回しか試合に入らないと、チームで動いているっていう感じがあまりしなくなっちゃう。だからこそ、投げる日はより言葉を大事にしたい」。この日は前日宣言した通り、桐敷にAmazonギフト券もプレゼント。頭脳派投手は目配りや気配りができる魅力もある。(西岡誠)