韓国の人気グループBTS(防弾少年団)が所属する総合エンターテイメント企業HYBEが5月2日、大幅減益を発表した。それにもかかわらず決算後の同社の株価はそこまで下げなかった。兵役中でBTSメンバーが不在のなか、同社の業績や株価は今後どうなっていくのだろうか?

■BTSショックは織り込み済みで底打ちか

HYBEの株価は年初来で約20%下げ、5月13日終値は19万2800ウォン(約2万2000円)をつけている。4月22日にはNewJeans(ニュージーンズ)の育ての親でHYBEグループのADOR社ミン・ヒジン代表が、内部紛争で独立の可能性が報道されて8%安と急落した。さらに5月2日には2024年12月期第1四半期(1〜3月)の決算が大幅減益だったことから1%安の反応を示した。

こうしたネガティブな材料をこなしながらも、2024年3月につけた安値18万3000ウォンから8%ほど高い水準で推移している。HYBEは2020年10月に株式上場を果たし、BTS人気で買われ、上場来高値は2021年11月の41万8000ウォンだった。ただBTSの活動停止報道から2022年10月に上場来安値11万1000ウォンをつけて約7割下げた。その後、約8割も上昇している。BTSショックから完全に底打ちしていそうだ。

■BTS活動中止でも業績に影響なし、過去最高益

株価が堅調なのは、世界的なK-POPブームが続いており、BTS不在がHYBEの業績に影響していないからだ。

日本でも2023年の紅白歌合戦ではK-POPグループが6組も参加した。2019年から登場した”第4世代”と称されるガールズグループが人気で、NewJeansやLE SSERAFIM(ルセラフィム)が HYBEグループに属している。

2023年12月期の決算では、韓国のエンタメ企業として初となる売上高2兆ウォンを超えた。売上高が前年比23%増(2兆1781億ウォン)、営業利益は25%増(2958億ウォン)と好決算で、ともに過去最高となった。

HYBEに所属する韓国アーティストが年間アルバム販売枚数トップ10に入っており、2022年の2220万枚から4360万枚と約2倍に増えている。

1位 SEVENTEEN(セブンティーン)……1594万枚
3位 TOMORROW X TOGETHER(TXT、トゥモロー・バイ・トゥギャザー)……651万枚
5位 NewJeans……426万枚
6位 ENHYPEN(エンハイプン)……388万枚

前述の第1四半期の減益決算に関しても、既存アーティストの活動の空白と新人グループのデビュー関連初期費用の影響だとしている。第2四半期(4〜6月)からは所属アーティストの活動が増え、ワールドツアーも本格的に始まるため、収益は改善される見通しだ。

■2025年にもBTS復活?

グループ活動は停止しているBTSだが、売上には貢献している。

2023年は、ジョングクとジミンが米ビルボードのメインシングルチャート「ホット100」でそれぞれ1位を獲得した。ARMY(アーミー)と呼ばれる世界的なBTSのファンダムが、活動中止中でもサポートしているようだ。

BTSは最年長メンバーのジンが2024年6月に除隊する予定だ。他のメンバーも今後続く予定で2025年にも活動を再開する可能性が高い。HYBEの株価はBTS期待を織り込みはじめるのかもしれない。

文/編集・dメニューマネー編集部
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