ファミレスには、必ずといっていいほど「ドリンクバー」があります。子どもの場合、ドリンク飲み放題が150円程度であれば「安い!」と飛びつきたくなる一方で、大人のなかには「これではお店に儲けがないのでは?」と思うことがあるかもしれません。   また、キッズの食事メニューを注文すると、セットとしてドリンクバーが無料で付いてくるお店も多いです。このようなドリンクの提供を見ると、原価割れも気になりますが、実際のところどうなのでしょうか。

「キッズドリンクバー150円」儲けはあるの?

ファミレスのドリンクバーには、各種ジュース・コーラなどの炭酸飲料・ウーロン茶などのソフトドリンクのほか、コーヒー・紅茶・お茶などさまざまな種類の飲み物が用意されています。ファミレスで大人が「ドリンクバー」だけを注文すると400〜500円程度、食事メニューとセットで頼むと200〜300円程度、ファミレスによっては200円を切るところもあります。
 
例えば、キッズドリンクバーが150円で、この金額で何杯でもお代わりできるのであればかなりお得であり、確かに「元を取っている(原価を回収している)のでは?」と思うこともあるでしょう。
 
しかし、ファミレスが赤字覚悟でこのサービスを提供しているかというと、全くそうではありません。飲食店では基本的に原価を下回るメニューはありませんが、ファミレスで最も利益率が高いメニューは、意外にもこの「ドリンクバー」なのです。
 

業界では高利益とされるソフトドリンク

飲食業界では、ドリンクバーの原価率は非常に低いことで知られています。特に、ソフトドリンクの原価率は5〜10%といわれ、1杯あたりの原価は数円〜20円程度が一般的です。濃縮液タイプのドリンクは特に安く、水や炭酸水で薄めるものは数円になります。
 
ちなみに、1番原価が高いのは100%ジュースの30円程度で、コーヒーは10円弱、ミルク入りのカフェラテは20円弱のようです。元を取ろうと思えば、大人が200円程度のセットドリンクバーで最も原価の高い100%ジュースを飲むとしても7杯以上飲む必要があります。原価20円のソフトドリンクの場合は10杯、原価10円なら20杯です。
 
子どもの場合、元々原価の低いジュースや炭酸飲料などが中心ですし、150ミリリットル程度のキッズ用コップで7〜20杯飲むことはそうそうないでしょう。しかし、だからといってドリンクバーを注文することは「損をしている」といえるのでしょうか。
 

ファミレスの原価率は“トータル”で30%程度

レストランなどの飲食店は、店の家賃や光熱費、人件費などの経費を考慮し、一定の利益を生み出せる範囲で価格を設定しています。前述したように、原価率の低いドリンクバーはお店にとって利益率の高いメニューです。
 
しかし、ほかの全てのメニューについても同じことがいえるわけではありません。一般的にドリンクとフードの原価率は全体で30%程度ですが、メニューによって原価率は異なります。
 
飲食店では、フードの原価率が高い傾向にあり、例えば、ハンバーグの原価率が50%という場合もあるでしょう。つまり、お店は「こだわりのメニュー」と「利益の出せるメニュー」を組み合わせることで、トータルの原価率が30%になるようにバランスを取っているわけです。
 

ドリンクバーを賢く楽しもう

ドリンクバーは、お店が最も高い利益を上げられるメニューです。ほとんどのファミレスはセルフサービスで、ドリンクをお代わりするためには席を立って機械のところまで行かなければなりません。機械の周りがほかのお客で混雑していることも多いでしょう。そうなると、元を取ることはほぼ不可能といっていいかもしれません。
 
もしお得に利用しようと思うなら、ドリンクバーを飲み過ぎるよりも、一緒にフードを注文するようにしてみてはいかがでしょうか。
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー