年金を受け取っている最中に亡くなる方もいます。死亡時点で受け取っていない年金があった場合、遺族は未支給年金として受け取れていない分を受給可能です。遺族には、事実婚状態のパートナーも含まれます。   ただし、事実婚の方が対象となるには、日本年金機構へ事実婚の関係を認定してもらう書類の提出が必須です。今回は、未支給年金の概要や、事実婚のパートナーが受け取るために必要なことなどについてご紹介します。

未支給年金とは

未支給年金は、公的年金を受給中に亡くなった方(以下、本人とする)が、まだ受け取れていない年金のことです。日本年金機構によると、以下に挙げる書類を提出したうえで、条件に該当する遺族が受け取れるようです。


・受給権者死亡届
・未支給年金
・未支払給付金請求書

提出書類には、表1に記載した書類の添付も必要です。
 
表1

受給権者死亡届(報告書) 未支給年金・未支払給付金請求書
添付する書類 ・本人の年金証書
・住民票除票、戸籍抄本、市町村長に
提出した死亡診断書のコピーまたは
死亡届の記載事項証明書
・本人の年金証書
・戸籍謄本など本人と申請者の続柄が
確認できる書類
・本人と申請者が同一生計だったことを
証明できる書類
・未支給年金の給付を希望する
金融機関の通帳
・本人と世帯を分けていれば
生計同一関係に関する申立書

※日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」を基に筆者作成
 
また、未支給年金を申請できる遺族は以下の通りです。


1.配偶者
2.子ども
3.両親
4.孫
5.祖父母
6.兄弟姉妹
7.そのほか1〜6ではない3親等内の親族

優先順位も数字の通りです。なお、対象者となるには本人と生計を同じくしていることも条件です。
 

事実婚でも未支給年金の対象者

未支給年金を受け取れる配偶者には、事実婚の妻や夫も含まれます。
 
国民年金法第5条では「『配偶者』、『夫』及び『妻』には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする」とされているためです。
 
ただし、日本年金機構に事実婚のパートナーとして認められるためには「事実婚関係及び生計同一関係に関する申立書」の提出が必要です。
 
事実婚関係及び生計同一関係に関する申立書では、結婚の意思はあったものの婚姻届を出していなかったこと、また本人と同一生計だったことなどを記載します。もし別居状態だった場合は、別居をしていた理由も記載しましょう。
 
また、別居状態だった場合は経済的援助の頻度や、連絡を取っていた頻度の記載も必要です。書類の最後には、事実婚の夫婦とは3親等内の親族でない方が第三者の証明人となり、名前や住所を記載します。
 
事実婚状態の方は、万が一に備えて親族以外で事実婚の証明人となる方を事前に決めておきましょう。
 

未支給年金を受け取る際の注意点

未支給年金は、あくまで本人が受け取れなかった年金を遺族が受け取れる制度です。本人が亡くなっていても死亡の届け出をせずに、年金を多く受け取っていた場合は余剰分を返還しなければならない可能性もあります。
 
提出が遅れた場合も同様で、未支給年金とみなされる分を超えたら返還しなければならなくなるケースもあるので、なるべく早く申請しましょう。
 
さらに、年金には時効があります。未支給年金の場合は、権利発生から5年たつと時効が成立するため、受け取れないようなので、注意が必要です。
 

未支給年金は事実婚でも受け取れる

未支給年金は、本人が亡くなった時点で受け取れていない年金を遺族が受け取れる制度です。制度の対象者は配偶者や3親等内の親族などで、事実婚状態のパートナーでも申請できます。
 
ただし、事実婚のパートナーが対象者となるには、事実婚を認定するための申請が必要です。3親等内の親族以外で第三者の証人も用意しなければならないので、申請する予定の方は知人に対応できないか聞いておきましょう。
 
また、未支給年金の時効は5年です。5年を過ぎると時効が成立して申請できないため、なるべく早めに申請することをおすすめします。
 

出典

日本年金機構 年金を受けている方が亡くなったとき
日本年金機構 生計同一関係・事実婚関係に関する申立をするとき
デジタル庁 e−Gov法令検索 国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第五条7
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー