老齢厚生年金の支給が始まった際に、被扶養者がいる方は年金に加える形で支給される「加給年金」という制度があります。いわば「年金の家族手当」で、自分の年齢や子どもの人数に応じて支給される金額も変動する点が特徴です。 ただし、離婚したなどで扶養しなくなった場合は対象外となります。書類提出が必要なケースもあるため、確認をしておきましょう。 今回は、加給年金の概要や止められるケースなどについてご紹介します。
加給年金とは
20年以上厚生年金保険の被保険者だった方が年金の受け取りを開始した際に、被扶養者が条件に当てはまっていると、年金に加えて受け取れるお金を加給年金といいます。被扶養者が以下に挙げる条件に該当していると受給可能です。
●配偶者:65歳未満
●子ども:18歳になる年度の3月31日までの間にあるか、20歳未満で障害等級が1級もしくは2級に該当
配偶者がいる方だと、22万8700円が受給できる金額です。子どもは、人数によって金額が変動します。2人目までは22万8700円ずつ、3人目以降は1人増えるごとに7万6200円です。
さらに、年金を支給される本人の年齢によって、「特別加算額」が配偶者分の金額に加わることもあります。年齢ごとの特別加算額は表1の通りです。
表1
誕生日の範囲 | 金額 |
---|---|
1943年4月2日以降 | 16万8800円 |
1942年4月2日〜1943年4月1日 | 13万5000円 |
1941年4月2日〜1942年4月1日 | 10万1300円 |
1940年4月2日〜1941年4月1日 | 6万7500円 |
1934年4月2日〜1940年4月1日 | 3万3800円 |
※日本年金機構「加給年金額と振替加算」を基に筆者作成
例えば、1943年4月2日よりあとに生まれた方が、老齢厚生年金を受け取り始めた時点で60歳の配偶者と中学生の子どもが3人いるケースでは、加給年金は合計93万1100円受け取れます。一方、子どもが全員20歳を超え、配偶者のみが適用となると39万7500円が受給できる金額です。
加給年金を利用するためには、年金事務所へ申請が必要なケースもあるため、該当するか分からない場合などは一度問い合わせてみましょう。
ねんきん定期便には書かれていない
日本年金機構によると、ねんきん定期便では加給年金についての記載はありません。記載される内容は、あくまで受給期間や納付額など本人に関する情報を基に提供されているためです。加給年金は、配偶者を始めとする本人以外の情報が必要なため、本人の見込額には反映されません。
加給年金が打ち切られるケースもある
加給年金は、被扶養者が条件に当てはまっていれば受け取れる年金です。配偶者と離婚したり扶養を外して生計を別にしたりした場合は、条件に当てはまらなくなり支給されないため注意が必要です。
なお、2022年4月までは配偶者が年金を受給開始した時点で配偶者の加入年金受給資格は停止されていました。しかし、2022年4月以降は受け取っていなくても、年金を受け取る権利が発生したら対象外となっています。
加給年金の資格を失った場合には「加算額・加給年金額対象者不該当届」を提出しないといけない可能性があるため、注意しましょう。
加給年金は扶養人数に応じて受け取れる年金の手当
老齢厚生年金を受け取り始めたときに、条件に当てはまる配偶者や子どもの人数や自分の年齢によって加算して受け取れるお金が加給年金です。ねんきん定期便では、確認できません。申請が必要かどうかなどは、自分で確認が必要です。配偶者が条件に当てはまっていると、最高39万7500円を受給できます。
ただし、離婚や生計を分けたなどの事柄が発生した場合は受け取れなくなるため注意が必要です。資格がなくなったときに届け出の提出が必要なケースもあるため、確認しておきましょう。
出典
日本年金機構 加給年金額と振替加算
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー