双子の兄弟そろってトップラガーマンで、“鶴谷ツインズ”としてファンから愛される鶴谷知憲選手・昌隆選手。互いに切磋琢磨しながら、それぞれのやり方で困難に立ち向かってきた、似ているようで似ていない双子ラガーマン。

—チーム内でのそれぞれの役割やキャラクターは
昌隆:ふたりとも今のチームに所属して6〜7年目なので、後輩の見本となるように心掛けています。僕が若いときにも、見本になる、目標となる選手がいたので、そういう選手になれたらいいなと思っています。
知憲:僕の場合は、あまり調子がよくなさそうな後輩がいたら、自分から話しかけに行ったり、話を聞いてあげたりするようにしています。
昌隆:所属したときから、みんなが仲良しで、先輩が後輩の面倒を見る。それがチームの色っていうのもあるかもしれません。ただ、ラグビーは人間性も大事なので、私生活でダメなことをしている後輩には、しっかりと話をしてます。

知憲:昌隆は、結構厳しいです。筋が通ってないことをしていたら、ガッツリ言う感じ。そういうのが嫌いなんです。
昌隆:はい、僕は厳しいです。中途半端だったり、言ってることとやってることが違ったりすると納得できないので、厳しく言います。
知憲:言い方がストレートすぎるんです。相手にどう刺さるじゃなくて、自分の意見をしっかり伝える感じ。だから、後輩たちにはちょっと怖いイメージがあるかもしれない(笑)。
昌隆:そうかも(笑)。でも、厳しく言うことで、自分の行動にも責任が持てるようになるんですよね。
知憲:それはあるかも。ズバッと言えるところは、すごいなって思うよ。僕は、さっきも話したように、「調子どう?」みたいに、探り探りで声を掛かけて言っていくタイプ。自分の意見も伝えたいんですけど、こう言ったら相手はどう思うのかを考えながら話してます。昌隆とは、そこが違うところですね。

昌隆:僕が思う性格の違いは、知憲はすごく頑固。
知憲:お互いに頑固な部分はあるよ。
昌隆:いやいや〜。僕はストレートにバーっと言っちゃうタイプだけど、相手が意見を言ってきて、それに納得できたら「そうかもしれない」って頭を切り替えられる。知憲は話し方は優しいけど、こっちから意見を言っても自分の意見を曲げないところが多いです。

知憲:スポーツ選手は自分の意見を曲げないことも必要だと思うので、それはそれでいいと思ってます。
昌隆:まあね。あとは、知憲は面倒くさいぐらいストイック。「トレーニングしすぎたら疲れるよ」と声を掛けると「わかった」って返事をしても、次の日またトレーニングしてたりする(笑)。
知憲:やりたいからやってたんだよ。自分の体は自分が一番わかってるから…。
昌隆:ほら〜。自分を曲げないところが頑固!でも、そこがスゴイなって思う。

—双子で同じチームに所属する利点は
昌隆:自分の悪いところを遠慮せずに、正直に指摘し合えるところ。チームメイトでも、本当に仲が良くないと、悪いところってビシッと言えないと思うんですよね。僕らの場合は、何も気にしないで話せるので。
知憲:その時の言い方もストレートすぎるので、結構、僕の心に刺さってます(笑)。でも的を射ているので、そういうときは家に帰って何度も頭で考えて落ち込むときもあります…。
昌隆:あはは! あとは、お互い切磋琢磨できるところもいい点かな。

知憲:あと、昌隆はフォワード(前)、僕はバックス(後ろ)とポジションが違うから、ラグビーの見方も違うこともあって、自分の知らない見方や解釈を教え合うこともできます。
昌隆:足りない部分を補い合えるのもすごくいいところ。

知憲:ただ、デメリットというか。僕は昌隆が試合に出ていると家族目線になってしまい、毎回けがをしないか心配になります。
昌隆:そういう気持ちはお互いにあるかもね。
知憲:自分が試合に出てるときよりも疲れる。精神的に(笑)。
昌隆:わかる(笑)。“第六感”なのかわからないけど、嫌な予感がするときは、知憲がけがすることが多かったりするかも。
知憲:オレもそれある! 3年くらい前ニュージーランドに留学してたとき、違うチームにいたのに「なんか嫌な予感がする…」と思ってたら、その日に昌隆が脳しんとうを起こしてた。