1人の女性が一生に産む子どもの数を示す「合計特殊出生率」について今月、厚生労働省は全国の市区町村別に過去5年間の平均値をまとめました。そのワースト20に、東京都からは豊島区や中野区など6つの自治体が入っていて、東京の出生率の低さが浮き彫りとなっています。この結果を自治体やその住民はどう受け止めているのでしょうか。

中野ブロードウェイをはじめサブカルチャーの発信拠点を持つ一方、人口密度が全国2位で住宅エリアも多い中野区。来月には新庁舎も開庁するなど、中野駅周辺の大規模再開発も進んでいます。

4月19日、厚労省が全国の区市町村別に過去5年間の合計特殊出生率の平均値をまとめたところ、中野区は0.91となり全国平均の1.33を大きく下回っていて、全国でワースト8位、都内ではワースト2位となりました。区民にこの結果について聞いてみると…

Q:東京都内でワースト2位の出生率、実感は?「とても住みやすい街なので不思議」Q:子育てもしやすそう?「しやすそうだと思う」Q・子育てしやすい?「割とすごしやすいと思う。(子どもの)誕生日にもプレゼントとか色々あった。住んでない人も住んでみたら…子育てもしやすいと思う」

では、出生率が全国的にも低いという結果を、区長はどう受け止めているのでしょうか。

中野区 酒井区長:「(合計特殊出生率の)数字をそのまま見てはいけないと思っていて。学生・会社員として働き出すなどの時期を中野で過ごしていただいているということで、まだまだ結婚されていない方がたくさん住んでるということなので、その数値自体が低いからといって区の子育て環境が云々とかにはならないかなと考えている」

中野区では、酒井区長の就任以来「子育て先進区」実現に向け、子育て家庭の意見を取り入れるタウンミーティングやひとり親家庭の経済支援を講じるなど、子育てに優しい街づくりを進めてきました。

一方で4月24日、人口戦略会議が発表した自治体の消滅可能性についての報告書の中では、中野区は「ブラックホール型自治体」という分類にされ、人口流入の数は多く出生率は低い状態となっています。

Q・今後この出生率を高めていくために新しい施策などは考えていますか?

中野区 酒井区長:「国全体で取り組む課題だが、若い人たちが結婚して子どもを持ちたいと思えるような環境づくりということでは、全国に先駆けてもチャレンジしていきたい」

中野区をはじめ、都内の特に23区内の自治体の多くが出生率が低い要因について、専門家に話を聞きました。

日本総研 上席主任研究員 藤波匠さん:「豊島区、中野区、いくつかの区部は独身の人が居住地として住みやすい地域。地価が安いということもあるかもしれないし、ワンルームマンションなどが多く供給されていることで、独身の人が多く住む地域となっている。 同じ区部でも、千代田区、中央区、港区などは非常に出生率が高い。これは比較的所得が高い人が家族で住むというパターンで、子どもが多く生まれているということなので、少子化対策がうまくいっているとか、そういうことの結果だけではないと理解している」

日本総研の藤波さんは、東京で行うべき出生率低下の対策について「若い世代が集まる経済都市として、若い人の賃金アップさせる取り組みや、生活の支援などが必要」と話していまして、様々な観点でこの出生率に向き合うべきだと感じます。