4月23日  〇2−0ヤクルト(神宮球場)
広  島 000 000 200・2
ヤクルト 000 000 000・0

広島通算20試合9勝9敗2分け(5位から4位へ浮上、首位阪神まで1・5差)
18時1分開始・2時間31分、22,993人
相手先発 ●吉村7回5安打2失点
広島本塁打 宇草2号2ラン
ヤクルト本塁打 −
広島登録抹消 −

広島スタメン
一番センター秋山
二番セカンド菊池
三番ライト野間
四番ファースト堂林
五番ショート小園
六番サード田中
七番キャッチャー坂倉
八番レフト宇草
九番ピッチャー〇床田(4試合2勝1敗)8回116球4安打無失点

 

試合前、広島はチーム本塁打数5、ヤクルトは村上とオスナが4発ずつチーム合計で11本塁打。

 

しかし勝負を決めたのは、広島の八番に入った宇草の一振りだった。

 

昨季の一軍出場なし、3日前のマツダスタジアム、巨人戦で2年ぶりの柵越えを放ちお立ち台で「ほんと、今年ダメだったら終わりだと思って、オフから臨んでいるので、何とか戦力になれるようにがんばっていこうと思います」と真顔で話した大卒プロ4年生。

 

今季2度目のスタメンという大きなチャンスを与えられたこの日は、高校、大学時代から慣れ親しんできた神宮球場スタンドに足を運んでくれた大勢の知人や関係者らの前で、自分らしさを表現できた。

 

試合は広島・床田、ヤクルト・吉村の投げ合いになった。互いに持ち味を存分に発揮して六回まででスコアボードにゼロが12個。床田は一発のある村上を2打席連続空振り三振に、オスナも見逃し三振とボテボテの二ゴロに封じた。

 

吉村は多少、甘い変化球があっても150キロ前後の真っ直ぐには力があった。初回、三回、六回と走者を得点圏まで進めてもそのあとが続かなかった。

 

迎えた七回、二死一塁で打席に宇草。それまで第1打席は見逃し三振、第2打席は一ゴロ。いずれも真っすぐにやられていた。

 

それを頭に置きながら、打てる球を待ったが初球スライダーストライク、2球目フォークはボールになり3球目スライダーは空振り、4球目フォークもボールになってカウントは2−2からの5球目…真ん中に来た真っすぐを、ものの見事に捉えてみせた。ライトの丸山和はもうほとんど動かなかった。

 

2月の日南キャンプ最初の紅白戦。そこにスタメンで名を連ねるのは毎年、期待される若ゴイたち…。だがそこに宇草の名前はなかった。2月後半、主力組が参加する沖縄キャンプにもやはり宇草の姿はなかった。

 

だが、宇草は逆に二軍で「スイング軌道の修正」に集中した。そして打球を飛ばすコツを徐々に掴んでいった。大事なのは、飛ばそうとするのではなく、しなりを使ってコンパクトに捉え、大きなフォローをかけること。今季1号は打席ではベンチの朝山打撃コーチから「ウグ!8分、8分(はちぶ)」の声がよく聴こえていたという。

 

新井カープ2年目の目玉商品のひとつだった「四番・末包」が故障で出遅れ、ここまで20試合中18試合で四番を務める堂林も、引っ張りの打球に角度がつかず未だ本塁打ゼロ。話題の二十歳の若ゴイ、田村もさすがにガンガン打つまでにはまだ相当の経験が必要だ。

 

シカゴ・カブスで3シーズン目を迎えた鈴木誠也の穴が埋まらないまま、今度はオリックスにFA移籍した西川龍馬の穴も埋めなければいけなくなった広島打線。宇草のスタメン起用の機会は、5月末の交流戦も見据えて今後も増えるだろう。秋山の9歳下、野間の5学年下で田村の5歳上。チームの外野陣のバランスを考えた場合にもその存在は貴重、ということになる。(ひろスポ!取材班&田辺一球)