サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)でMotoGP第3戦アメリカズGPの決勝レースが行なわれた。優勝したのは、アプリリアのマーベリック・ビニャーレスだった。

 アメリカズGP2日目に行なわれたスプリントレースでは、ビニャーレスがポール・トゥ・ウィン。絶好調で決勝レースを迎えた。

 予選では大型ルーキーのペドロ・アコスタ(GASGAS)が2番手を獲得。またCOTAで計7勝と大得意としているマルク・マルケス(グレシーニ)も3番手を獲得し、決勝レースでは勝利を狙うと意気込んだ。

 COTAは午前中こそ上空を雲が覆っていたものの、午後にかけて雲が減り、MotoGPクラスの決勝前には晴天。気温は27度まで上昇し路面温度44度のコンディションでスタート時刻となった。

 全20周で争われるアメリカズGP決勝は、アコスタが抜群の加速でホールショットを奪取。ターン1に向けては若干の混乱がありポジションが大きくシャッフルされた。注目されたビニャーレスも蹴り出しが悪く、1コーナーではドゥカティのフランチェスコ・バニャイヤとの軽い接触もあって、一気に10番手付近までポジションを下げた。

 オープニングラップを終えた段階でのオーダーはアコスタを先頭に、ホルヘ・マルティン(プラマック)、ジャック・ミラー(KTM)、マルケス、そしてドゥカティのバニャイヤとエネア・バスティアニーニという並び。ビニャーレスは9番手だった。

 先頭ではアコスタとマルティンがバチバチのバトルを展開。アコスタはマルティンから強烈なプレッシャーをかけられるが、一歩も引くことなくディフェンスしてトップを守った。しかし4周目のS字区間で、マルティンに追い抜きを許して後退した。

 このとき、アコスタはマルケスにも追い抜かれ、さらにその後はバニャイヤにもオーバーテイクを許してしまい、4番手までダウン。ただ引き離されることはなく、僅差で追いかけ続けた。

 トップのマルティンに対し、マルケスは5周目の最終コーナーでイン側から仕掛けていったが、ここでマシンが接触。その隙を逃さなかったバニャイヤとアコスタに先行を許してしまった。

 その後も2番手争いのバトルが続き、7周目のターン1でアコスタがブレーキングでズバッと切り込み、バニャイヤをオーバーテイク。そしてS字ではマルケスがバニャイヤを追い抜いていった。

 一方で後方からはスタートでポジションを落としていたビニャーレスがオーバーテイクを繰り返して徐々に接近。折り返しとなる10周目にはバニャイヤを抜いて4番手に浮上した。

 上位勢の中では、アコスタとビニャーレスがリヤにミディアムタイヤをチョイスした一方で、マルティンやバニャイヤ、マルケス、バスティアニーニはソフトコンパウンドのリヤタイヤを選択していた。そうしたタイヤの違いもあってか、首位を走っていたマルティンが急速に後続の接近を許してしまい、10周目にアコスタがオーバーテイクし首位を奪還。そしてマルケスにも続けざまに追い抜かれてしまった。

 さらに11周目、マルケスがアコスタをターン1でオーバーテイク。ついに先頭に立った。このまま優勝に向けて一直線かと思われたマルケスだったが、ターン11でフロントをすべらせて転倒。サーキット・オブ・ジ・アメリカズでの8勝目のチャンスを失った。

 これでアコスタが再び先頭に立ったが、後ろからは最速ペースを記録しながらビニャーレスが迫り、13周目のターン11でオーバーテイク。1周目を終えた時点で9番手だったビニャーレスが、ついに先頭に舞い戻った。

 アコスタはこれに反撃できず、ビニャーレスが逃げてギャップを拡大。ただビニャーレスも独走態勢を築くことはできず、0.8〜1秒の差と油断のできない状況が続いた。

 ビニャーレスはラストラップも手を緩めずに走りきって、先頭でフィニッシュ。MotoGPクラスとしては、史上初めてとなる異なる3メーカー(スズキ、ヤマハ、アプリリア)で勝利を達成した(最高峰クラスとしては5人目)。なおビニャーレスは今回、バットマン仕様のスペシャルヘルメットを着用していたが、パルクフェルメではスタッフもバットマンのお面を被って出迎えるなど、チームは盛大に勝利を喜んでいた。

 2位はアコスタ。前戦ポルトガルGPの3位に続く、連続表彰台獲得となった。3位はラスト2周でマルティンを追い抜いたバスティアニーニだ。

 日本人ライダーの中上貴晶(LCRホンダ)は6周目に転倒し、リタイアとなった。また他のホンダ勢も苦しみ、完走は16位のルカ・マリーニ(レプソル・ホンダ)のみだった。