自宅の駐車場からはみ出て駐車されているクルマを見ることがあります。では、どのくらい道路にはみ出してしまうとダメなのでしょうか。

どのくらいの「はみ出た駐車」なら問題ない?

 ときどき、自宅の駐車場などから道路にはみ出しているクルマを見かけます。
 
 では、このような場合は何らかの違反に当たるのでしょうか。

 クルマを新しく購入したときや所有者の名義・住所変更などをするときは、基本的にクルマの保管場所を確保していることを証明する手続きが必要です。

 これは自動車ユーザーに保管場所の届出を義務付けることで、道路を駐車場所として利用しないよう車庫法で規定されています。

 具体的には、自家用の登録自動車を所有する際は「保管場所証明書(車庫証明書)」を、自家用の軽自動車の場合は「保管場所届出書」をそれぞれ管轄の警察署に提出しなければいけません。

 ただしクルマの「使用の本拠の位置」が島しょ部などにある場合、保管場所の手続きが不要となることもあります。

 東京都を例にみると、登録自動車においては桧原村、神津島村、小笠原村など8つの村、軽自動車においては武蔵村山市、あきる野市、奥多摩町など17の市町村が手続き不要な地域です。

 なお警視庁のウェブサイトでは、クルマの保管場所(車庫)の要件について次のように掲載しています。

 1. 駐車場、車庫、空き地など道路以外の場所であること。
 2. 使用の本拠の位置から2キロメートルを超えないこと。
 3. 自動車が通行できる道路から、支障なく出入させ、かつ、自動車の全体を収容できること。
 4. 保管場所として使用できる権原を有していること。

 2の「使用の本拠の位置」はクルマを実際に使用する場所のことをいい、一般的には自宅の住所や、所有者が法人の場合は会社の住所などが該当します。

 仮に使用の本拠の位置を自宅にする場合は、自宅から2キロメートル以内にある駐車場・車庫などを保管場所として選ぶ必要があります。

 また3においては「自動車の全体を収容できること」が保管場所の要件とされており、駐車枠の中にクルマが入りきらないケースや、クルマが敷地から道路にはみ出るケースなどは保管場所として不適格といえるでしょう。

 しかし、住宅地などではクルマが自宅の駐車場から道路にはみ出ている光景がたびたびみられます。

 では、このようにクルマが道路にはみ出ている場合、何らかの違反に該当することはあるのでしょうか。

 まず大前提として、駐車時にクルマが敷地から道路にはみ出てしまうケースはそもそも車庫証明書の手続きが許可されない可能性が高いといえます。

 なぜなら車庫証明書の手続きに際しては、警察の職員が実際に保管場所に出向き、寸法を測るなどして条件に合うかどうかを確認するためです。

 とはいえ、車庫証明書をとっていてもクルマがきちんと駐車されていない場合には道路にはみ出してしまうことがあるかもしれません。

 車庫法第11条第2項では自動車が道路上の同じ場所に継続して12時間以上駐車することや、夜間(日没から日の出まで)同じ場所に継続して8時間以上駐車することを禁止しており、道路へのはみ出しはこの違反に抵触するおそれがあります。

 加えて、道路交通法違反に当たる可能性も考えられます。

 道路交通法第47条第2項に規定する「駐車の方法」によると、車両は道路の左側端に沿い、なおかつ他の交通の妨害とならない方法で駐車しなければいけません。

 そのためクルマが歩道や路側帯といった歩行者用のスペースにはみ出して通行を妨げていれば、上記の規定により「駐車禁止場所等違反」に該当するケースも想定されます。

 SNS上においては「近くの家のクルマが歩道にはみ出していたので警察に通報した」といった声も寄せられており、駐車方法は十分注意すべきといえるでしょう。

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 法律上「道路に何センチはみ出ていたら違反」といった明確な規定はありませんが、クルマがはみ出している時点で法に抵触する可能性があります。

 まわりの歩行者やクルマの妨げにならないよう、決められたスペースにしっかり収めて駐車することが大切です。