JR東海は29日、リニア中央新幹線品川―名古屋間の2027年開業を断念すると表明した。これまでは「27年以降」と掲げていた。環境への影響を懸念する静岡県の反対で静岡工区の着工が遅れているため。工期は10年程度と見込み、短縮も困難なことから、開業は早くても34年以降になる見通し。政府が3兆円の財政投融資を活用し、国家プロジェクトとして後押ししてきた開業が先送りとなり、沿線のまちづくりや企業の経営戦略にも影響が出そうだ。

 JR東海の丹羽俊介社長は国土交通省であった有識者会議で「新たな開業時期は見通すことができないが、早期開業を目指し全力で取り組む」と強調。同席した同社幹部は「工事に10年要すると考え、17年に工事契約を締結して速やかに着手し、27年12月の開業を目指していた。技術的な観点から工期を短縮することは厳しい」と述べ、開業が34年以降になる可能性を示唆した。

 川勝平太静岡県知事は29日午後、記者団に「まだ報告を受けていないのでコメントは差し控える」と述べた。