熊本県水俣市で1日に開かれた水俣病の患者・被害者団体と伊藤信太郎環境相の懇談会で被害者側の発言が制止された問題で、環境省は7日、発言者2人の話の途中でマイクの音を切ったことを認め、近く謝罪する意向を明らかにした。「不信感を抱かれる不適切な対応だった」としている。

 水俣病対策を担当し、懇談会の司会をした特殊疾病対策室の木内哲平室長が、水俣病被害者市民の会の山下善寛代表、水俣病患者連合の松崎重光副会長に直接謝罪する。同日午前、伊藤環境相から指示があった。

 木内室長は「マイクの音を切ることがあると事前にアナウンスする予定だった。焦っていて(原稿を)読み飛ばした」と説明。発言が一定時間を過ぎた場合にマイクを切る方針は昨年もあったが、実際に切ることはなかったという。

 改めて懇談の場を設ける考えはないとし、「今後どのようにすれば懇談会を円滑に運営できるか、団体から意見を聞きながら検討したい」と話した。現時点で伊藤環境相の謝罪は予定していない。

 懇談会は犠牲者慰霊式の後にあり、八つの患者・被害者団体と伊藤環境相が出席。環境省によると、被害者側の発言が長引く傾向や伊藤環境相の帰京時間を考慮し、各団体には事前に3分での発言を要請していた。

 水俣病被害者・支援者連絡会(水俣市)は「被害者たちの言論を封殺する許されざる暴挙だ」として環境相に謝罪を要求する方針で、8日に要望書提出に関する記者会見を開く。