2022年度で閉園した諏訪市の児童福祉施設「蓼科保養学園」の100周年記念事業実行委員会は21日夜、市役所で開いた。市博物館での特別展や記念誌編さんなどの記念事業が区切りを迎えることから、実行委を「新健康教育研究委員会」に移行。子どもに心身の健康と成長をもたらした学園の成果の継承へ、具体的な検討を進めていくと決めた。委員長の後藤慎二副市長は「2025年度には具体的な一歩を踏み出したい」とした。

 茅野市蓼科で運営していた学園では、諏訪市内の小学5年生が親元を離れて共同生活を送り、学習や多様な体験をした。共同生活と共有体験で自立心や共感力が育まれ、仲間と一緒の食事や十分な運動などで偏食が減り、肥満にも痩せにも効果が表れた。

 22年度末で歴史に幕を下ろしたが、今年度が開設100周年に当たり、昨年6月に実行委を発足。翌月下旬から9月にかけて特別展「蓼科保養学園・メモリアル」を市博物館で開いた。学園生活の様子や卒園生、関係者の声や寄稿を収める記念誌の編さんも大詰めを迎えている。

 今月に入り、小学校長や元学園児童指導員、元学園看護師など、教育・福祉分野の10人で構成する新健康教育研究部会の初会合を開催。小松内科クリニック(諏訪市)院長で、30年余にわたって学園の嘱託医を担った小松郁俊さんがスーパーバイザーとして加わり、子どもを取り巻く環境の変化に対応した「新しい健康教育」の研究に入った。具体的な姿や方策を考え、8〜9月ごろに研究委に報告する。

 学園は高島小学校の校医だった小澤侃二(かんじ)医師が、児童を蓼科に連れて保養させたことが始まり。1948年に市に運営移管され、52年に児童福祉法に基づく認可を受けて蓼科保養学園として通年運営するようになった。コロナ下で休園が続き、園舎も老朽化する中、閉園を決定。市は活動の成果を整理した上で、新しい健康教育を検討するとしてきた。

 この日の実行委では学園嘱託医としての長年の功績をたたえ、小松さんに市長感謝状を贈った。