ペットショップで売れ残っていた、生後6ヵ月のポメラニアン・むぎちゃん。その1年後に撮影された衝撃的な変化が話題に。迎え入れた当時はボサボサの毛で、目は悲しそうに覇気がなかったというが、飼い主さんご家族が大きな愛情を注いだことにより、天真爛漫な笑顔を振りまき、時にオッサン化するまで自由気ままに過ごすことができるようになったという。関係性の変化を飼い主さんに聞いた。

◆ホームセンターに来た目的も忘れ…「出会った瞬間に連れて帰る決心をしました」

ーー生後6ヵ月のむぎちゃん。顔には涙のあとがあり、覇気がない状況だったとのこと。そんなむぎちゃんを見て、飼い主さんはどのようなことを感じましたか。

「例えば可哀想だとか、涙の後や毛がボサボサだとか、この時は全く思っておりませんでした。この事は改めて動画を編集する時に気付きました。

 犬を飼おうと思ってペットショップに行ったのではなく、除草剤を買いに行ったホームセンター内のペットショップでむぎに出会いました。他にも沢山の子犬がいたと思いますが、むぎしか印象になく出会った瞬間に連れて帰る決心をしました。ちなみに本来買うはずの除草剤のことはすっかり忘れてました」

ーー本来の目的を忘れるほどの衝撃的な出会いだったわけですね。

「ケースの中にいたむぎはおとなしかったのですが、ケースから出してもらうとニコニコでしっぽをぶんぶん振っていたのをよく覚えています。むぎを迎えた後に『ペットショップで犬を買うべきではない』という意見があることを知りましたが、迎えたからには責任を持ってむぎを愛情いっぱい育てて行こうと思います。あの日ケースにいたのがむぎじゃなければ、犬を迎えていなかったと思います。それほどの縁を感じました」

ーー自宅に到着後は、怯えてなかなかベッドの下から出てこなかったそう。そんなむぎちゃんの姿を見て、どう感じましたか? 家の環境や人間社会に慣れさせていく過程のなかで、もっとも苦労した部分はどんなところですか?

「突然知らない場所に連れて来られてそりゃ怖いよなーと思いました。最初は窓を開けるだけで外の音に驚いて震えていました。家の環境には慣れてもらうしかありませんでしたが、ケージの中は自分だけの安心できるスペースと思えるように意識しました。

 遊べるエリアも柵で区切りながら徐々に徐々に広げていきました。時にはトレーナーさんを呼んだり預けたりしながら、色んな経験をして社会化を試みました。
お迎え当初は必死だったのと、成長が目に見える楽しさで苦労は感じませんでした。もっとも苦労した部分は社会化というよりトイレトレーニングです」

◆アイコンタクトからスタートし、徐々に縮まった関係性「むぎに出会えて本当に良かった」

ーー不安そうなむぎちゃんが、結果として、家では自由にのびのび、“おっさん化”している姿に驚きました。散歩でも、しっぽがしっかりあがって嬉しそうな表情です。むぎちゃんがここまで変わったきっかけは何だったのでしょうか?

「ペットショップでケースから出た時にニコニコ尻尾を振っていたことを思い返すと、むぎの性格によるものが大きいのかなと思います。そして何より飼い主とむぎとの信頼関係が築けたのだと思います。その結果、喜びの表情などが見られるようになりました。おっさん化については、一緒に過ごす時間が長いおっさんの影響でしょうね(笑)」

ーーむぎちゃんに心を開いてもらうために、飼い主さんはどんな声掛け・態度をしめしていたのでしょうか。

「犬と暮らしている人が皆やっていることをやってきただけです。褒めることはしっかり褒める、叱る内容は夫婦で矛盾がないように一貫性を持つ。躾でいうと、アイコンタクトを1番頑張りました。何をするにもまず目を合わせるところからスタートです。

 例えばおやつを持つとおやつに目が行きますが、目が合うまでおやつをあげないとかです。あとは沢山話しかけました。今日あったこと、お天気のこと。美味しいね、可愛いね、明日はどこに行こうね。今も毎日沢山話しかけます。散歩中もずっとむぎに話しかけながら歩いてます(笑)。時には仕事の愚痴も聞いてもらっていますよ」

ーー天真爛漫なむぎちゃんの様子を見て、過ごしてきた1年間を振り返って、どんなことを感じますか?

「むぎに出会えて本当に良かったと思います。むぎがいない生活はもう考えられません。天真爛漫なむぎは飼い主の育て方ではなく、むぎの生まれ持った性格かなと思います。沢山の方に愛される立派なポメラニアンになれました!

 最初は可愛い我が子を沢山の人に見てもらいたくて始めたYouTubeですが、視聴者さんとのご縁やむぎの成長記録、情報収集という面でもやってて良かったなと感じます。飼い主と同じようにむぎの成長を見守ってくれている視聴者さんの愛情も伝わってると思います。むぎはLIVE配信大好きで、配信の準備をすると自分から定位置にスタンバイしますよ」

ーーむぎちゃんにはどのような犬生を過ごしていってほしいと感じますか?

「実はむぎは麻酔にリスクがある子です。避妊手術を試みた際に心拍数や呼吸数の低下が見られ緊急中止に。体重が増えてから再び挑んだ避妊手術も同じ理由で中止となりました。気管が狭いことも原因のひとつとのこと。犬は歯石を取るのにも麻酔が必要な場合があります。なので歯磨きは毎日しっかり行っています。何かあった時のために麻酔に強い先生のところに相談しておくのも大切ですね。とにかく健康でのびのび過ごしてくれたら充分です。私たち飼い主は、『鬱陶しいな!』と言われるくらいの愛情を注いでいこうと思います。むぎのために、おっさんもダイエットして健康にならないといけませんね」