ソシオネクストが足元で開発を行っている半導体の分野別構成比では、自動車向けが過半を占めており、アメリカや中国の自動車メーカーからの受注が中心だ。2年前の自動車向け比率は2割に過ぎなかった。「汎用品をひと通り試した末に、結果的に半導体そのものからデザインしないと最終製品の差別化ができないと考えた顧客から受注が増えている」(ソシオネクストのIR担当者)。

昨年12月には、トヨタやホンダ、車載半導体に強いルネサスエレクトロニクスなど13社が出資社として名を連ねたASRA(自動車用先端SoC技術研究組合)が発足。3月には経済産業省から10億円の補助金を受け取ることを発表した。

ASRAが目指すのは、高性能な車載半導体を造るための先端技術の確立だ。すでにデータセンター向けの半導体では先行している技術を、自動車というハードな使用環境にも耐えうるように活用しようとしている。

エヌビディア依存度を下げる

そもそもエヌビディアが世界的な大ブレークを果たしたのは、生成AI需要の爆発が背景にある。現在、一強体制のエヌビディアを倒すべく、サーバー向けのAI半導体の開発競争がヒートアップしている。大口顧客であるアマゾン、マイクロソフトは自社開発品に力を入れ、エヌビディア依存度を下げようとしている。

そしてサーバー向けに続けとばかりに、自動運転をはじめとする自動車向け半導体の開発競争も熱を帯びている。あらゆる業界で「エヌビディアの限界」を見据えた開発競争が、一段と加速することは間違いなさそうだ。

著者:石阪 友貴