日経平均は続伸、インフレ鈍化や円安進行で年初来高値を更新

日経平均は続伸。11日の米株式市場でダウ平均は221.82ドル安と4日続落。地銀のパックウェスト・バンコープの預金減少を受けて金融不安が再燃し、序盤は下落。一方、4月卸売物価指数(PPI)が予想を下回り、金利先高観の後退でハイテクの買いが相場を支援、ナスダック総合指数はプラス圏を回復し、+0.17%と小幅続伸。米ハイテク株高や為替の円安を受けて日経平均は72.58円高からスタート。取引開始直後は5月限オプション取引の特別清算指数(SQ)算出に絡んだ売買で一進一退となったが、時間外取引のナスダック100先物が上げ幅を広げるなか、日経平均も早い段階で騰勢を強めた。前場中ごろに年初来高値を更新した後はもみ合いが続いたが、終盤に一段と円安が進むと再び買いが強まり、大引け直前に29426.06円(299.34円高)と再び年初来高値を更新した。SQ確定値は29235円。

 大引けの日経平均は前日比261.58円高の29388.30円となった。東証プライム市場の売買高は16億6497万株、売買代金は3兆9588億円だった。セクターでは水産・農林、精密機器、ゴム製品が上昇率上位に並んだ一方、石油・石炭製品、パルプ・紙、鉱業が下落率上位に並んだ。東証プライム市場の値上がり銘柄は全体の56%、対して値下がり銘柄は40%だった。

 個別では、ファーストリテ<9983>、ソニーG<6758>、キーエンス<6861>、任天堂<7974>、HOYA<7741>など値がさ株が全般高い。ニチレイ<2871>、日清食HD<2897>、キッコーマン<2801>など食料品も堅調。前期実績が計画を上振れ市場予想を大幅に上回る今期計画を発表した神戸製鋼所<5406>、増益増配見通しおよび中長期の数値目標が好感された住友不動産<8830>が急伸。日産自<7201>は増益増配見通し、ホンダ<7267>は今期計画や自社株買いを材料に大きく上昇。ウシオ電機<6925>は今期減益見通しも大規模な自社株買いがサプライズとなり急伸。日本酸素HD<4091>は営業増益および増配計画が評価された。

 ほか、業績予想を上方修正した藤田観光<9722>、決算が好感されたところで電算システムHD<4072>、ニーズウェル<3992>、ユニプレス<5949>、LIFULL<2120>などが大幅高となった。大幅増配や高水準の自社株買いを発表した高周波熱錬<5976>はストップ高比例配分となった。

 一方、三菱UFJ<8306>、東京海上<8766>、郵船<9101>、川崎汽船<9107>、三井物産<8031>、ファナック<6954>、住友鉱<5713>、三菱重工業<7011>、INPEX<1605>など景気敏感株で軟調なものが多かった。赤字決算となったソフトバンクG<9984>、今期が想定超の減益見通しとなった武田薬<4502>、今期2ケタ営業減益見通しの三菱地所<8802>、上半期計画が市場予想を下回ったSUMCO<3436>が下落。ほか、1−3月期赤字決算のドリームインキュベータ<4310>、今期計画が市場予想を大きく下振れたJCRファーマ<4552>、業績予想を大幅に下方修正したI‐PEX<6640>、減益減配見通しが嫌気された新日本電工<5563>、芝浦メカトロニクス<6590>などが急落。ヤクルト本社<2267>は好決算もサプライズに乏しく、短期的な出尽くし感から後場に売られた。

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