ESG投資とは、従来の財務情報だけでなく、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮した投資のことを指し、企業経営の持続可能性を考慮する投資手法として、注目を集めています。
ESG投資に対する認知が広がったきっかけは2006年の国連による責任投資原則(PRI、Principles for Responsible Investment)の提唱と言われています。
責任投資原則は、機関投資家に対して、投資分析のプロセスにESG課題を組み込むことを求めるものです。2021年時点で、世界60か国以上4,000以上の署名機関が参加しています。
日本における署名機関数は、2020年4月末の76から、2023年4月末には121まで増加しました。また、経済産業省が2019年に行ったアンケート調査では機関投資家の98%がESG情報を投資判断に活用していると回答するなど、機関投資家におけるESG投資の認知度は高いと言えます。
一方で、個人におけるESG投資の認知度は、そこまで高まっていません。日本証券業協会が2022年に行った個人投資家の証券投資に関する意識調査では、ESG投資の内容を認知していると回答した割合は、年代別では20代〜30代が最も高く37.2%、全体では31.9%であり、過半数が認知していない状況です。
関連する概念であるSDGs(持続可能な開発目標)は、各種メディアが2022年に行った調査では認知度が8〜9割に達するなど急速に社会に普及しましたが、ESG投資の個人における認知度は発展途上と言えます。
企業においては、2022年4月以降、東京証券取引所におけるプライム市場の上場会社は、コーポレートガバナンス・コードに基づき、気候変動に関する国際的な開示の枠組みである気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD、Task Force on Climate-related Financial Disclosures)又はそれと同等の気候変動に関する開示を行うことが原則として求められています。
また、2023年からは、有価証券報告書において、「サステナビリティに関する考え方及び取組」の記載欄が新設されるほか、女性管理職比率や男女間賃金格差が開示項目に追加されるなど、人的資本・多様性に関する開示が拡充されます。企業によるESG関連の情報開示の充実は、情報の比較可能性と信頼性を高め、ESG投資を後押しすることになると考えられます。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券では、東京証券取引所に上場するESG投資をテーマにしたETN「スマート30ESGシリーズETN」の投資家保有残高に応じて寄付を行う取り組みを行っています(前回記事)。
この度、女性が活躍できる社会の推進、脱炭素社会への移行の推進、次世代支援の各ESG課題の解消に取り組む活動を支援する3団体に約81万円ずつ、合計約243万円を寄付しました(弊社ニュースリリース)。寄付先の各非営利団体は、営利企業や政府・地方公共団体の活動や支援だけでは十分にカバーされていない様々な社会課題の解決に取り組んでいます。
ETNへの投資を通してこれらの取り組みを支援することは、持続可能な社会の実現に向けた貢献にもなります。寄付への取り組みをきっかけに、幅広い方々にESG投資をより身近なものとして感じて頂くことができれば幸いです。
(スマート30ESGシリーズETNの3銘柄)
●スマートESG30女性活躍(ネットリターン)ETN
●スマートESG30総合(ネットリターン)ETN
●スマートESG30低カーボンリスク(ネットリターン)ETN
<寄付先の名称と概要>