運転免許証の裏側には「備考」欄があります。この備考欄は住所や氏名が変わった際の情報や「眼鏡等」といった「免許の条件」であるとか、「自動二輪免許」を取得した年月日などが書かれます。ネット上の記事によると、SNSで「新しい住所を自分で書き込んでいる人を見かけた」であるとか、「備考欄をメモとして使っている」といった話があるようです。また、「身分証明書として免許証のコピーを取る際、備考欄に住所を手書きして提出する人もいる」という声もあります。では、この備考欄に自身でなにか書き込んだ場合、どういう扱いになるのでしょうか。

●免許証に手書きはNG

 結論から言えば、自身で運転免許証になにか書き加えた場合、罪に問われる可能性があります。神奈川県交通安全協会によると「公文書に対し『偽造・変造・不実記載』等を行いますと、文書偽造罪、道路交通法違反になり罰せられます。顔写真に冗談で悪戯書きをしたり、裏面に落書きしたりすると、それだけで同罪や文書等毀棄罪に問われたりすることがあります」とされています。

 さらに中日新聞には2021年3月に「変更後の住所を自分で免許証の裏面に書き込み、身分証明書の書類として利用した男女5人を有印公文書変造・同行使罪で書類送検した」という記事もあります。「有印公文書偽造罪・変造罪」は、1年以上10年以下の懲役。状況や悪質性によって罪の大きさは変わりそうですが、かなり重い罪だと言えるのではないでしょうか。

 つまり公文書である免許証は、自身では一切変更してはならないものです。もしすでに書き込んでしまったという人がいたら、早急に警察署に届けて事情を説明しましょう。悪用の意図がないことをしっかり説明すれば、大きな問題とはならないかもしれません。

●免許証の住所変更は警察署などで行う

 「引越しした」もしくは「氏名が変わった」といった場合には、新しい住所や氏名を確認できる書類を持参して、警察署や運転免許更新センター、運転試験場に行って書き換えてもらいます。ただし、地域によっては警察署では手続きを行えない場所があったり、指定された交番で手続きする場所もあったりするので、詳細は各都道府県の警察署Webページなどで確認しましょう。

 警視庁の記載によると、持参するものは以下の通り。住所変更で本人が申請する場合は「運転免許証」および「新しい住所が確認できる書類」を準備しましょう。この書類には「住民票の写し(マイナンバーが記載されていないもの、コピー不可)」、「マイナンバーカード(通知カード不可)」、「健康保険証」、「在留カード」、「本人宛の消印付き郵便物」などが該当するとのことです。

 氏名や本籍(国籍)に変更がある場合は「運転免許証」ならびに、「本籍(外国籍の人は国籍)が記載されている住民票の写し(コピー不可、マイナンバーが記載されていないもの)」などとなっています。氏名のみ変更する場合は、「運転免許証」と「追記欄で氏名の変更が確認できるマイナンバーカード(通知カード不可)」のみで手続きができます。詳細は状況によって変わるようなので、自身が居住する都道府県警察のウェブページなどを確認しましょう。

 免許更新時には裏の記載は新しい免許証の表面に転記され、裏はまたまっさらになります。もし更新時までに備考欄が埋まってしまった時には、備考欄のシールを上から貼り付けられます。その上から新たな変更点が書き加えられるようです。くれぐれも備考欄には自分では何も書かないことです。もし間違って書いてしまったら、早めに警察に届け出て正しい手続きをしましょう。

<参考サイト>
免許証の住所変更、きちんと手続きを 名古屋・西署で5人書類送検|中日新聞
https://www.chunichi.co.jp/article/214889
運転免許更新に関するQ&A-20│公益財団法人神奈川県交通安全協会
https://k-manner.or.jp/koueki2/menkyo-qa/menkyo-qa20
記載事項変更(住所、氏名、本籍(国籍等)の変更の方)|警視庁
https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/menkyo/koshin/kisai00.html