SNS広告を見たことがきっかけで投資詐欺に騙されてしまった50代女性。2億円を超える被害に遭い、「頭が真っ白。あれだけニュースになっている詐欺に自分がかかるなんて夢にも思わなかった」と悔しさをにじませる。

【映像】自称ベテランアナリストからの複数メッセージ

 SNS広告で著名人をかたった詐欺が相次いでいる。顔写真を使われた著名人は広告の掲載元であるアメリカのMeta社に怒りをあらわにする。

「もう削除しろ削除しろって、もう1年以上言ってるんですよずっと。で、(Meta社)舐めた対応しかしないんで、ずっとなめられてます」(堀江貴文氏)

 こうした抗議を受けてMeta社は声明を出した。

「Metaは規定に沿って広告を審査していますが、世界中の膨大な数の広告を審査することには課題も伴います。社会全体でのアプローチが重要だと考えます」

 まるで他人事のような内容に、実業家の前澤友作氏は強い言葉で批判した。

「日本なめんなよマジで」

 共同通信によると4月19日には、詐欺広告の対策を協議する会合で、平井卓也デジタル社会推進本部長がMeta社に対し「しばらくの間、全ての広告を停止することも検討してほしい」と求める事態になった。

 被害額2億円超の投資詐欺に遭った女性も、SNSの広告をクリックしたことをきっかけに資産運用のアナリストを名乗る人物とつながり、LINE上でメッセージを送りあうようになったという。

 女性には切羽詰まった理由があった。保有していた株が大きく値下がりし、数千万円の損失が出ていた。

「投資に関する資金を貸してくれるなら詐欺じゃないと思った」「『お母様に楽な暮らしをさせることを考えましょうね』と言われたりして、優しい言葉を巧みに言われたりとか」

 今思えば不可解なことが多くあった。投資する際に自分名義の口座ではなく、アナリストを名乗る人物から紹介された他人の名義で口座が勝手に作られてしまったのだ。実際にそのアナリストと会ったことはなく、やりとりはメッセージのみだった。

「よくできました!資金を増やすと今夜の収益も必ず増えます」「市場相場分析によると、明日は今週最後の取引日です」「変動はさらに激しくなるでしょう」

 先方から送られてきたという納税証明書には不可解な点があり、記載されている字や言葉にも誤りが多く見つかっている。

「これも非常に不可解な証明書ですので、おそらくは偽造ではないかと」(弁護士法人パートナーズ法律事務所・原和良弁護士)

 投資を続けること約半年、ついに女性の資金は尽きてしまった。

「(いくら振り込んだ?)計算するのも恐ろしいですけど、2億2000万円ほどいっていると思います。どうしていいか本当にわからない」(50代女性)

 弁護士に相談したところ、きびしい現実を突きつけられた。

「完全な詐欺。刑法上の詐欺ですね」(原弁護士)

 「(お金は返ってくる?)うまくいけば、一部が残っていて戻ってくる可能性はありますけど、本人には返ってくると期待しないでくださいと言っている。それが詐欺被害のリアルな実態だと思います」

(『ABEMAヒルズ』より)