和歌山県田辺市は29日、新庁舎の完成記念式典を開いた。真砂充敏市長や岸本周平知事をはじめ、関係者約200人が出席。新しいまちづくりの拠点の門出を祝った。大型連休中に引っ越し作業を行い、新庁舎での業務は5月7日から開始する。

 式典は、1階多目的ホールであった。
 真砂市長は「未来につながるまちづくりの拠点として、長きにわたり重要な役割を担っていくと確信している。市民の皆さまに親しまれ、便利で頼りにされる庁舎となるよう、力を結集していきたい」とあいさつ。知事や市議会議長、地元選出の国会議員や県議らとともにテープカットをした。
 高雄中学校吹奏楽部が市の合併10周年記念曲「いにしえの道〜崇高なる紀伊の大自然を讃(たた)えて」を演奏し、花を添えた。
 現庁舎は築50年以上がたち老朽化している上、南海トラフ巨大地震の津波浸水想定域にある。
 新庁舎は、東山1丁目の高台(海抜約19メートル)にある商業施設跡地に建設。2021年12月に起工し、整備を進めてきた。総事業費は約122億円。
 鉄筋コンクリート造り地上6階建て(延べ床面積約1万7千平方メートル)で、1階は耐震、2階から上は免震構造。現在は分散している教育委員会や保健センター、水道部も集約する。
 災害発生時に情報を収集、発信する「オペレーションルーム」を常設。市民が気軽に立ち寄れる「コミュニティースペース」や「市民展望テラス」も設けている。
 外観や内装には紀州材をふんだんに活用。障害の有無などにかかわらず誰もが利用しやすい「ユニバーサルデザイン」を取り入れている。