和歌山県内の公立中学3年生(昨年12月1日時点)のうち、国が卒業段階で求める英検3級以上の英語力がある生徒の割合は51・3%だった。2015、16年度は30%台だったが、その後上昇傾向にあり、21年度以降、3年連続で50%を超えた。

 国は22年度まで、中学校卒業段階で英検3級相当以上、高校卒業段階で英検準2級相当以上の学力がある生徒を5割以上にする目標を立てていた。昨年度に「27年度までに6割以上」と引き上げたほか、全ての都道府県と政令市で5割以上にするとした。高校生ではさらに英検2級相当以上を3割以上にすることも目標にしている。
 国が発表した昨年度調査の結果によると、和歌山県は中学3年生6987人のうち、外部試験で英検3級相当以上を取得しているのは43・4%(政令市を含めた全国平均27・9%)、それ以外に授業や学校の試験などで、教員が相当以上の英語力があると認めた生徒は7・9%(22・1%)で、合計51・3%(50・0%)となった。
 15年度は39・9%、16年度は35・6%だったが、21年度に52・4%と初めて50%を超えた。22年度は51・1%だった。
 昨年度の都道府県の最高は福井県の83・8%で、次いで東京都の60・7%、群馬県の57・9%だった。
■検定料の県負担終了 代替措置実施へ
 県教委によると、15年度から全中学3年生の英検の検定料を県が全額負担してきたことで、生徒が目標を持って取り組めたことや、教員が結果のデータを活用して授業を改善してきたことが奏功した。昨年度調査では外部試験を受けた生徒の割合は93・8%で、全国平均の46・2%を大幅に上回った。
 しかし、検定料の県負担は昨年度で終了した。この事業で一定の結果が出たことや、検定料の引き上げで県予算が増えることなどが理由。例えば、受験生が多い3級の団体申し込みは15年度の2800円から徐々に上昇し、24年度は5千円になるという。
 代わりに県教委は、合否はなく英語力を点数で示す、英検「IBA」の利用を拡充する。「IBA」の読みと聞き取りについて、昨年度は希望する1、2年生を対象に実施していたが、本年度からは中学生全員に拡大する方針。費用は生じない仕組みという。
 新たに「IBA」の書くことと話すことについても、希望する中学2、3年を対象に、県負担で実施したいとしている。
■高校3年生の48% 英検準2級以上の力
 一方、昨年度の高校3年生のうち、英検準2級相当以上の英語力がある割合は48・0%(全国平均50・6%)だった。15年度の22・5%(34・3%)から毎年上昇しているが、全国平均は下回り続けている。英検2級相当以上は17・7%(19・8%)だった。
 中高の英語科教員については、国は大学中級程度の英検準1級相当以上を求めている。昨年度で該当する中学教員は268人中94人の35・1%(44・8%)、高校教員は178人中135人の75・8%(80・7%)だった。