和歌山県の田辺市やJA紀南でつくる「紀州田辺うめ振興協議会」は、市内の小中学生が梅をより身近に感じられる取り組みに力を入れる。家庭科の調理実習に梅干しを提供し、梅の料理コンテストも開く。若者をはじめとした梅の消費量減少や、後継者不足といった課題がある中、梅産業の活性化につなげたいという。

 総務省家計調査によると、1世帯当たりの年間梅干し購入数量は、2023年は626グラムで02年と比べて約4割減少。23年の1世帯当たりの年齢別購入数量は、50歳以上は500グラムを超えているが、29歳以下では250グラムほどと少ない。市によると、同市の販売農家戸数は、新市に合併後の2010年が2367戸だったのが、20年は1708戸と、10年間でおよそ3割減少している。
 こうした背景を受け、もっと子どもたちに特産の梅に親しんでもらおう、地場産業を学ぶ機会をつくろうと、今回の梅と触れ合う企画を考えた。
 家庭科の調理実習では、希望する学校に材料として、JA紀南の梅干し(白干し、減塩、蜂蜜やしそ漬け)や練り梅を無償で提供する。6月中に申し込みを受け付ける。また、協議会やJA紀南がホームページで紹介している梅を使ったレシピを活用してもらう。
 一方、「田辺市小・中学生 うめぇ料理コンテスト」と題した梅を使った料理コンテストは、9月6日を応募締め切りとし、夏休み中に挑戦、応募してもらう形にしている。対象は田辺市立の小学5、6年生と中学生(個人でもグループでも可)で、学校を通じてコンテストのチラシを配布する。
 「梅料理レシピ部門」は、梅干しや梅肉、梅ジャム、梅酢などを材料とした料理で、見た目や独創性、梅の使用感、作りやすさなどを審査する。「こんな梅料理あったらいいな!部門」は、梅を使った料理のイラストを自由に描いてもらう。見た目や実現性などを審査する。最優秀賞など各賞を選び、図書券などが贈られる。
 コンテストで選ばれた梅料理は、SNSやホームページでの発信も考えているという。
 協議会は「子どもの頃から梅と触れ合うことで梅の産地であることを認識し、成長して外へ出た時に広めてもらったり、地元の良さを分かってもらえれば」と話している。
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 紀州田辺うめ振興協議会の本年度総会が15日に田辺市内であり、事業計画を決めた。小中学生を対象にした調理実習での梅提供や料理コンテスト実施のほか、青梅の加工講習会、料理教室の開催、梅もぎ体験ツアーの受け入れなどを盛り込んでいる。
 加工講習会では、梅シロップを作る資材として、手軽に作れて、立てて置くことができる袋の「スタンドパック」(幅15センチ、高さ26センチ)を新たに用意した。
 ほかに、梅の機能性をPRするチラシ「梅のちから」の中身を更新し、梅シロップを牛乳で割る飲み方を「うめラッシー」(ヨーグルト風ドリンク)として紹介するなどしている。