<KPMG全米女子プロゴルフ選手権 最終日◇24日◇サハリーCC(米ワシントン州)◇6731ヤード・パー72>

34歳のベテランが、悲願のビッグタイトルを獲得した。単独首位から出たエイミー・ヤン(韓国)が逃げ切り優勝。米ツアー参戦17年目にして、メジャー制覇を飾った。


昨年の最終戦「CMEグループ・ツアー選手権」を制した“年間女王”は、おなじく日本ツアー年間女王の山下美夢有と最終日最終組でプレーした。3番のボギーで山下に1打差に迫られたが、5番パー3でチップインバーディ。エイミーがバーディを奪った8番で山下がダブルボギーを喫し、独走状態に入った。

一時は7打までリードが広がったが、前日から感じていたストレスが減ることはない。17番パー3で池に入れてダブルボギーを喫したが、3打のリードを持って18番パー5を迎えた。フェアウェイを歩きながら、キャディに言った。「いままでのキャリアのなかで一番長い18ホールだった」。2パットのパーとすると肩の荷を下ろし、グリーンそばで待ち構えていた後輩たちの“手荒い”シャンパンファイトを全身に浴びた。

2021年に趣味で始めたロッククライミングの影響もあり、左ヒジを痛めた。完全に回復するまでに時間を要し、将来に不安を感じる日々を過ごした。そして昨年、復活するために外的な期待を抑えることを目的として、スポンサーなしでシーズンをプレーすることに決めた。真っ白い帽子がその証拠。ただ、それでは少し“物足りない”からと、にこちゃんマークを自ら刺繍している。

「一時期は、引退するまでにメジャー大会で優勝できるだろうかと考えていたこともあった。1998年のセリの名前がそこにある。いつも夢みていたから、手に入れることができてとても光栄」。韓国のジュニア誰しもが憧れた“スーパースター”朴セリは、98年、02年、06年と今大会で3度も優勝カップを掲げている。そしてそこに、エイミーの名も刻まれた。

大会終了後の世界ランキングは25位から5位まで浮上。「パリ五輪」の韓国代表入りに滑り込み、コ・ジンヨンとキム・ヒョージュとともに母国を背負うことが決まった。「今年の最大の目標のひとつだった。ここ何試合か予選落ちして世界ランキングも下がっていたのを知っていた。この優勝で代表になれてとてもうれしい」。ゴルフ競技が五輪に復帰した「リオ五輪」にも出場し、これが2度目の経験となる。

「ゴルフはとても簡単で楽しいと感じる日もあれば、早く引退したいと感じる日もある(笑)」と話したエイミーは、来月28日に35歳の誕生日を迎える。シャンパンの匂いを漂わせながら歓喜に酔いしれ、にこちゃんマークのような満面のスマイルで締めくくった。(文・笠井あかり)


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