バレーボールVリーグ1部ファイナルステージ

 バレーボールのV1リーグ男子ファイナルステージ(FS)の3位決定戦が30日、東京・有明コロシアムで行われ、レギュラーラウンド(RR)6位の東レアローズが同4位のJTサンダーズ広島に3-2(17-25、25-20、21-25、25-22、15-13)で勝利した。日本代表の高橋健太郎にとって7年間所属した東レでの最後の試合。1年前に他界したセッター・藤井直伸さんとの“約束”を果たすために奮闘し、新天地での活躍を誓った。

 RR6位からの躍進。コートは歓喜に包まれた。高橋はアタック1本、ブロック1本の2得点。怪我の影響もあり、勝利の瞬間はベンチで迎えた。目標の優勝には届かなかったが、「有終の美を飾って終われるのは優勝したチームと銅メダルを取るチームだけ。チーム全員で勝てたことは嬉しかった」。メダル授与式後には、高橋、富田将馬、そして「FUJII」のユニホームを着た米山裕太が宙に舞った。

 前日にチームから高橋の今季限りでの退団が発表された。大学卒業後から7年間所属。過去2年はあと一歩でFSを逃すシーズンが続き、報われない悔しさも感じてきた。「優勝という藤井さんとの約束には賞味期限があると、今季の初めからずっと言っていた」。日本代表や東レで共闘した戦友。昨年3月10日に31歳で他界した先輩との約束が、高橋自身、そしてチームの活力となった。オフは墓前で報告する。

「藤井さんのところに行こうと思っている。優勝はできなかったけど、褒めてくれると思う」

 自身にとって東レとは。「チームにあるのは執念、強い気持ち」。この日も第1セットを17-25で落としてからくらいつき、逆転した。「技術は足りないかもしれないが、他のもので補っている素晴らしいチーム」。苦楽をともにした仲間からの胴上げ。見えた景色は格別だった。「人間的に成長させてくれた」

 チームを離れ、新たなスタートを切る。決断理由や新天地については明かさなかったが、「来年から始まるSVリーグに向かっていく上で、新しいことを怖がっていたら成功はない」と断言。挑戦であることは確かだ。「新天地でも僕のプレースタイルを貫いてバレーボール界に貢献したい」。東レで得た経験を胸に競技の未来を担っていく。

(THE ANSWER編集部・山野邊 佳穂 / Kaho Yamanobe)