工場や製鉄所などから出た二酸化炭素(CO2)を回収し、地中に埋める取り組みが日本でも本格化している。「CCS=Carbon dioxide Capture and Storage」とよばれる技術で、温暖化対策の柱の一つとして官民が一体となって事業化をめざしている。記者が実証施設を訪れ、現状と課題を探った。

 北海道苫小牧市の海岸沿いに、高さ50〜30メートルほどの3本の塔が立っている。隣の製油所が出すガスからCO2を分離して回収する装置だ。23日、報道陣に公開された。

 回収したCO2は高い圧力をかけ、井戸を通じて海底の地下1千メートル以深に送り込む。砂岩などの隙間が多い地層に注入し、その上にある泥岩などの地層が「ふた」の役割を果たすという。

 この施設では2012年度から事業が始まり、これまでに約30万トンのCO2を閉じ込めた。現在は異変が起きないかモニタリングをしている。事業を担う日本CCS調査の広報担当者は「CO2の分離回収から貯留までを一貫してできた」と成果を語る。