岐阜市の陸上自衛隊日野基本射撃場で、自衛官候補生(19)が男性隊員3人を銃で撃ち死傷させた事件で、陸自の調査委員会は18日、原因究明と再発防止策をまとめた報告書を公表した。

 報告書は、事件を防げなかった原因について分析。同じ部隊の仲間に発砲する事態を想定していなかったうえ、小銃と弾薬を持った状態で待機していたことから「発砲行為に至るまでの時間的な猶予を与えてしまった」と指摘した。

 再発防止策として、▽小銃と弾薬を持つ時間を少なくするため、弾薬は射撃の直前に渡す▽上官は不測の事態に備え、隊員らを制止できるように教育する▽隊員の表情や言動に注意を払う指導補助者を配置する、などを挙げた。即日実施する。

 森下泰臣陸上幕僚長は同日の会見で、「国民から信頼を受けて武器の使用を許可されている組織として、(事件は)決してあってはならない。射撃訓練を行う場合の安全確保を徹底したい」と述べた。

 自衛官候補生は昨年6月14日、射撃訓練中に弾薬を強奪しようと自動小銃を発砲。陸曹長(当時52)と2曹(同25)を死亡させ、3曹(同25)に重傷を負わせたとして、岐阜地検が今年2月に強盗殺人と同未遂の罪で起訴した。(矢島大輔)