人口減少などで次世代に受け継ぐことが難しくなっている祭りや民俗芸能に「担い手」を派遣する事業を高知県が始める。今年度は3カ所ほどを選び、県職員や大学生らを送り出す。担当者は「活動に参加することで地域を支える力になって欲しい」と話している。

 20日に開かれた県文化遺産総合活用推進委員会で報告された。県歴史文化財課によると、県内の大学や企業、県職員に呼びかけ、市町村から要望のあった伝統芸能に踊り手などとして派遣する。

 県は、5月末をめどに市町村を介して担い手の受け入れを希望する団体を募っており、県内の大学や企業から参加者を募集する。事前の準備や練習への参加も必要で、交通費や宿泊費は県が負担する。

 2019〜21年度に県が実施した調査で、県内で確認できた伝統芸能981件のうち、4割にあたる385件で中断や廃絶していることが判明。過疎化や少子高齢化で担い手が不足し、活動が続けられない状況が浮き彫りになった。

 県は今年3月に策定した県中山間地域再興ビジョンで、伝統芸能を「地域の誇りであり、活力の象徴」と位置づけ、4年間でのべ300人の担い手派遣を目標に掲げている。

 昨年度は高知市中心部を会場とした「土佐の伝統芸能まつり」を初めて開催し、約1200人が来場した。今年度も10月に開催するという。(羽賀和紀)