岸田文雄首相が訪米した際、日米両国の共同声明で自衛隊と米軍の「指揮統制」の連携強化を打ち出したことに対し、憲法学者や政治学者らでつくる「立憲デモクラシーの会」は19日、国会内で会見し、「安全保障政策上の主体的な判断の余地が全くなくなる可能性さえ予期される」と批判する声明を発表した。

 共同声明では、指揮統制の連携強化の目的を「(米軍と自衛隊の)作戦と能力のシームレスな統合を可能とするため」としている。林芳正官房長官は会見で「自衛隊が米軍の指揮統制下に入ることはない」と説明していた。

 この点について、同会の声明では「有事には実質的に米軍の指揮統制下に自衛隊が組み込まれることになる」と指摘。「指揮統制機能の一体化が進めば、米国の判断で始めた戦争に自衛隊が追認して出動するほかなくなる」との懸念を示した。

 会見した中野晃一・上智大教授(政治学)は「日本が主体的な安全保障(政策)を(遂行)できないという事態になる危険性がある」と指摘した。