「無知だった」「不勉強」。町職員に対するハラスメント行為について、そう答えた愛知県東郷町の井俣憲治町長(57)=2期目。25日開いた会見で辞職する意向を表明した。「(支援者から)励ましの声はあった」と任期半ばで去る無念さを語りつつ、「(職員には)静かに仕事ができる環境が必要」と理由を説明した。一方、「被害」を受けた元町職員らの怒りは今も大きい。(松永佳伸、臼井昭仁、米田怜央)

■「すべてを理解し、納得したわけではない」

 「ハラスメントの対象となった職員に心よりおわび申し上げます」。井俣町長の謝罪で会見は始まった。

 町が設置した弁護士でつくる第三者委員会は、108人の町職員に対するハラスメントを認定した。しかし、質疑で各事案について問われると、「すべてを理解し、納得したわけではない。私の記憶にない事案が複数あった」と説明した。

 第三者委の会見で指摘された降格人事については、「したことは一切ない」と反論。「育休を1年取ったら殺すぞ」といった発言も「記憶にありません」と答えた。

 記者会見は2時間半近くに及んだ。具体的な言動について問われると、「個人が特定される質問には答えられない」「個別事案には答えられない」と繰り返した。重ねて問う記者に「それハラスメントですよ」と返す一幕もあった。