安全保障に関わる機密情報の「特定秘密」を漏洩(ろうえい)したとして、防衛省は26日、陸上自衛隊の50歳代の2等陸佐を特定秘密保護法違反の疑いで、自衛隊内部の犯罪を捜査する警務隊に告発すると発表した。また、特定秘密保護法に違反する運用をしたとして、海上自衛隊の40歳代の1等海佐ら4人を停職6日などの懲戒処分にした。

 防衛省によると、自衛官の特定秘密保護法違反の事例が公表されるのは、2022年12月に1等海佐=懲戒免職=が書類送検された時に続き2例目となる。

 発表によると、陸自の2等陸佐は北部方面隊(北海道)の部隊指揮官をしていた23年7月16日、上富良野演習場で行われた訓練で指示をする際、特定秘密を扱う人を審査する適性評価を受けていない隊員15人に対し、有事での自衛隊活動に関する情報を漏らした疑いがある。

 その後、話した内容が特定秘密に該当する可能性に気づいたが、部下が15人に口外しないよう指示したため、上級部隊に報告していなかった。2等陸佐は「隊員の意識を高揚させようと思った。深く考えていなかった」と説明しているという。

 海自の1等海佐は護衛艦いなづまの艦長だった22年6月20日、適性評価を受けていない隊員を特定秘密を扱う職務に指名し、その後の23年1月10日までの約2カ月の任務で、艦内の戦闘指揮所(CIC)のモニターに表示された船舶の航跡情報を取り扱わせたという。30代の3等海佐と2等海尉も指名や定期検査の際に確認を怠り、次の艦長になった40代の2等海佐も確認しなかったという。