自民党の教育・人材力強化調査会が、国立大学について「適正な授業料の設定」を検討すべきだとする提言をまとめたことに対し、丸山達也島根県知事は21日の定例会見で、提言は値上げを想定していると指摘し、「こんな経済環境が悪い時にやろうと考える人たちの思考回路がわからない」と批判した。

 調査会は16日、質の高い高等教育の実現に向けた提言をまとめた。それによると、国立大が国際競争力の強化をめざすなかで教育コストの増加なども踏まえ、「適正な授業料の設定や負担軽減について検討」すべきだとした。

 丸山知事はこの提言について「(授業料を)適正な数字に見直すと言う時に、下げることはない」と指摘した。

 実質賃金は24カ月連続で下落し、子ども・子育て支援金の財源確保のために国民負担も増すことが想定される。丸山知事はこれらの家計を取り巻く厳しい状況を挙げ、経済的負担が比較的少ない国立大の授業料の値上げも視野に入っているとして「高等教育を諦める親が増えていることが少子化の一因になっている、という想像力すらない人たちに、怒りと失望を覚える」として、政府が提言を採用しないよう求めた。

■「自民党は政権転落しますよ」と批判も

 4月の衆院島根1区補選で自民候補が大敗したことにも触れ、「こんなことをやったら自民党は政権転落しますよ」「裏金問題が出てる、そんな政党が提言していい内容じゃない」と批判した。(垣花昌弘)