公立高校の入学試験における障害のある受験生への特別配慮申請や合否判定で障害者差別があったなどとして、「千葉『障害児・者』の高校進学を実現させる会」に所属する2家族が20日までに千葉県弁護士会に人権救済をそれぞれ申し立てた。同日、会見を開いた。

 申し立てをしたのはいずれも県内に住む、ダウン症で重度の知的障害をもつ男性(15)、難病「レット症候群」の女性(15)と、その親ら。

 申立書などによると、2人はこの春の公立高校入試で、定員割れをしている学校を受験したが、「基準に達していない」「点数がとれていない」などの理由から「定員内不合格」になった。

 レット症候群のため話すことが難しい女性は、面接や作文を課す試験で道具を使って意思表示するなどの「特別配慮申請」をしたが、配慮決定通知が受験前日だった上、申請内容は認められなかったという。

 申立書では「不合格の理由にあげられていることはいずれも障害が理由であり、障害の状況を考慮せず必要な合理的配慮がなされないことは障害者差別である」などと指摘。障害を理由とした不合格判定をしないこと、特別配慮申請への十分な合理的配慮などを県教育委員会などに求めたいとした。

 4月下旬に申し立てをした女性には、5月27日付で県弁護士会が受理し、調査を始めるという回答があったという。

 会見で男性の母親は「高校進学は多くの人にとって一般的なこと。それなのに息子が公教育というサービスから排除されていることは理不尽で、とり残されている気持ちです」と訴えた。県教委は同日、「申立書が届き次第内容を確認し、対応する」とコメントした。

 この問題をめぐっては、6月の県議会定例会の代表質問(立憲)でも問いただされ、冨塚昌子教育長は「(入学者は)総合的に判断し、校長が決定している。学ぶ意欲があると判断できる受検者を定員内不合格とすることのないよう指導していく」と答弁した。文部科学省の調査によると、人口の多い8都道府県(2022年10月時点)のうち、23年度入試で定員内不合格者の報告があるのは千葉県のみで、その数延べ56人。(竹中美貴)