(4日、プロ野球 広島東洋カープ4―1横浜DeNAベイスターズ)

 眠れない夜を過ごして、広島の「代打の切り札」松山竜平は球場に来ていた。0―2で敗れた前日は好機で代打し、狙っていた直球を一飛。「信頼して(打席に)送ってもらっているのに裏切ってばかり」。悔しさで何度も目が覚め、3時間ほどしか寝られなかった。

 内野ゴロで追いついた七回。2死一、三塁で4番堂林に代わって打席に立つ。頭によぎったのは、前日の一飛。「紙一重」の打ち損じだと感じていた。わずかな差を埋めるために「バットのヘッドを立たせて、しっかりまっすぐをつぶしていけるようにと思った」と振り抜いた。

 真っ赤な右翼席へ、アーチがかかる。チーム最年長の38歳は、力強く右手を突き上げた。「最近は期待に応えられていなかった。何とか1本出そうと思った」と喜んだ。

 試合がない日も球場に来て打ち込み、体のケアも怠らないベテランの一発は2022年9月23日以来。「僕が行くのは、ここ一番の場面が多い。それは何年経っても緊張する。去年はホームランを打っていないから、そういうところで1本打てれば」。4月に話していた通りの一振りで、勝利をもたらした。(上山浩也)