人口が世界一のインドで、4〜6月に総選挙が実施されます。「世界最大の選挙」とも言われ、2014年から首相を務めるナレンドラ・モディ氏は3期目を狙います。日本とは大きく違う選挙の仕組みや争点、日本への影響などを紹介します。

 Q 今回の総選挙では何を決めるのか?

 A 日本の国会議員にあたる下院(かいん)議員の選挙と、いくつかの州で州議会議員選挙が実施される。下院は543議席あり、小選挙区制で最も多く票を得た候補者1人が当選する仕組みだ。

 カースト差別を禁じる憲法に基づき、指定されたカーストや少数部族出身の議員を決める選挙区も設けている。

 前回の2019年の下院議員選挙では、全国各地で約670の政党が候補者を出し、無所属を含め8千人超が立候補した。一つの選挙区に平均して約15人が出馬し、中には185人が争った選挙区もあったという。

 日本と違って、インドでは1人の候補者が二つの選挙区に出馬することも認められている。仮にある候補がどちらの選挙区でも当選した場合は、別の日に補欠選挙が行われるという。

 Q 人口が多いから、選挙も大変だ。

 A 有権者は日本の人口の7倍近い約9億6880万人。インドは国の面積も大きく、選挙期間中に担当スタッフや治安部隊をきちんと配置するため、投票は地域ごとに別々の日に行われる。

 今回の下院議員選挙は4月19日〜6月1日に7回に分けて投票があり、結果が判明する開票作業は6月4日に一斉に行われる。

 Q 選挙の仕組みは?

 A 投票は電子投票機を使い、選びたい候補者の名前が付いたボタンを押す形になっている。読み書きができない国民も多いため、政党ごとに決められたシンボルマークも記されている。

■政党のマーク、変わり種も

 例えば、与党のインド人民党(じんみんとう)(BJP)なら「ハスの花」、最大野党の国民会議派(こくみんかいぎは)なら「手のひら」。他にも、インド人にとっておなじみのゾウやオートリキシャ、クリケットのバットもあれば、電球やドアノブ、パンを焼くトースター、防犯カメラといったものまである。有権者はこうしたマークも参考にして投票する。

 85歳以上の有権者や一定の障がいのある人は、郵便投票も可能だ。