ロシアを利する目的で英国内で敵対的な行為をしたとして、英検察とロンドン警視庁は26日、20〜60歳の男5人を国家安全保障法違反の罪などで訴追したと発表した。今年3月に、ウクライナと関係のある商業施設に放火したなどとされる。

 当局の発表や英公共放送BBCによると、ロンドンの工業団地で3月、ウクライナ人夫妻が所有する倉庫が燃える火災が発生。ロンドン警視庁のテロ対策担当が捜査を行い、ガソリンなどが使われた放火事件だと断定した。

 訴追された5人のうち、20歳と22歳の2人については「ロシアの情報機関から金品を受け取ることに同意していた」などとして、国家安全保障法違反罪が適用された。残る3人については、放火や、テロ行為に関する情報を得たにもかかわらず、それを隠していたとされる反テロリズム法違反の罪に問われた。

 ロンドン警視庁の捜査幹部は「我々は最近、国家安全保障に関連する様々な脅威に直面している。今回の容疑は非常に深刻なものだが、広範なものではない」とする声明を出した。(ロンドン=藤原学思)