イスラエル軍は6日、パレスチナ自治区ガザ最南部ラファの一部で、住民に避難を求めると発表した。ガザを実効支配するイスラム組織ハマスとの間で戦闘休止と人質解放をめぐる交渉が本格化するなか、イスラエルの有力紙ハアレツは「ハマスに圧力をかける狙いがあるとみられる」と指摘している。

 発表によると、イスラエル軍はラファ東部の住民に対し、南部の最大都市ハンユニスか地中海沿いのマワシ地区に移動するよう呼びかけるとしている。ハアレツによると、住民たちはすでに携帯電話などのボイスメッセージ、チラシなどで避難の呼びかけを受け取り始めているという。

 対象者は約10万人という。一方、朝日新聞の現地通信員によると、ラファでは5日夜以降、イスラエル軍による激しい攻撃が続いている。

 イスラエル軍によるラファ侵攻が取りざたされるなか、ロイター通信は6日、イスラエルのガラント国防相がオースティン米国防長官と電話で協議し、ハマスが休戦案を拒否したために、ラファでの軍事行動の必要性を主張したと報じた。ただ、ハマスへの揺さぶりの可能性もあり、実際に侵攻に踏み切るのかは見通せない状況だ。