南シナ海スプラトリー(南沙)諸島のアユンギン礁(中国名・仁愛礁)近海で17日、フィリピンの補給船と中国海警局の艦船が衝突したことをめぐり、米ホワイトハウスのカービー広報補佐官(国家安全保障担当)は17日の会見で、中国による「挑発的で無謀な行動」だと非難した。「初期の報告として、少なくともフィリピンの船員1人が負傷した」とも述べ、懸念を示した。

 カービー氏は中国によるフィリピン船への妨害行為が「誤解や誤算を招き、より大きく暴力的な事態につながる可能性がある」とも警告した。米国務省報道官も同日の声明で、中国による「エスカレートし、無責任な行動」を非難した。

 米国務省によると、キャンベル米国務副長官は17日、この衝突をめぐってフィリピンのラザロ外務次官と電話で協議。中国による「無責任な行動」に共通の懸念を示した。両者は中国の危険な行動が、地域の平和と安定を脅かしているとの認識で一致。キャンベル氏は、南シナ海でのフィリピン軍や艦船、航空機などへの攻撃に、防衛義務を定めた米比相互防衛条約が適用されることを改めて確認したという。

 一方、中国海警局は17日、アユンギン礁での「取り締まり」について3回の発表をした。最新の報道官談話では「フィリピン側が合意に背き、補給船1隻とゴムボート2隻が不法に海域に侵入した」ため、臨検や強制排除などの取り締まりをしたと説明。これらは「合理的かつ合法だった」とした。さらにフィリピン側に向けては「いかなる挑発行為も無駄だと再度警告する」と述べた。(ワシントン=清宮涼、北京=畑宗太郎)