有機米の生産技術を確立し、普及を進めようと「オーガニックビレッジ」を昨年宣言した島根県大田市と、農業機械メーカー「三菱マヒンドラ農機」(本社・松江市)が1日、連携協定を結んだ。除草作業を大幅に省力化できる「紙マルチ田植え」を広め、有機米の生産拡大を図る。

 紙マルチ田植えは、水田に再生紙を敷きながら苗を植える栽培方法。紙が日光を遮り、約1カ月間、雑草の発生や生育を抑えることができる。紙はJAS認証されたもので、40〜50日ほどで溶け、有機肥料になる。

 協定に基づき、同社が紙マルチ田植え機1台を無償貸与し、ノウハウの支援もする。有機米栽培に取り組む三瓶地区の農事組合法人など五つの経営体が、5月下旬から順に紙マルチ田植えをする。今季の栽培面積は約2・4ヘクタールになる見込みだ。

 初めて地方自治体と協定締結した同社の斎藤徹社長は、国内外の「おにぎりブーム」を例に「有機米は都市部で需要が高い成長市場。環境にやさしく、稼げる農業ができる。地元・島根の自治体と最初に(協定を)結べて良かった」と話した。

 楫野弘和市長は「有機米生産は手間がかかる。除草の労力をいかに省くかがかぎで、画期的な技術で生産が拡大できることはうれしい」と述べた。市では三瓶地区に限らず、市内全域で有機米作りに取り組む考えで、2027年には15ヘクタールの栽培をめざしている。(中川史)