末期がんや後天性免疫不全症候群と診断された患者の苦痛症状を緩和しながら、終末期のみとりまでを担う緩和ケア(ホスピス)病棟が静岡県藤枝市の市立総合病院に完成、今月から患者の受け入れを始めた。同病院によると、県中部7市町では唯一のホスピス施設となる。患者や家族だけでなく、医療スタッフの心のケアのために、セラピー犬と定期的にふれあう機会も設ける。

 緩和ケア病棟は本館8階の一部(延べ床面積約650平方メートル)を改修して設置され、全12室がすべて南向きの個室だ。患者家族らの控室や患者専用の台所のほか、イベントの開催やセラピー犬とのふれあいなどに利用できる談話室がある。総事業費は約1億5千万円。

 医療スタッフとしては、日本緩和医療学会の認定医2人と看護師15人が配置される。同病院はこれまで緩和ケア科が終末期医療に取り組んでいたが、専門の病棟はなかった。当面は入院中か通院中の患者のみを受け入れる。

 緩和ケア病棟は県内に4カ所計117床あり、同病院の病棟が完成したことで5カ所計129床になった。

 緩和ケアセンターの吉野吾朗所長は「一人でも多くの困っている患者さんに、よりよい環境でおだやかに過ごしてもらえる施設にしたい」と話す。(林国広)